仕事・人生
宝塚に“反発”して退団した元男役 振付師として活躍中のはやせ翔馬さんが語る昔と今
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インタビュアー:竹山 マユミ
退団後に経営したライブハウスが不振 救いの手を伸べたのは…
竹山:それでも、退団後も同期の方たちとの舞台やOGの方たちの舞台など、多くのつながりがありますよね。
はやせ:おかげさまで、いろいろなご縁をいただいています。そのきっかけになったのが2002年にオープンしたこのダンススタジオです。その後、2013年にこの建物の1階で「ライブカフェはやせ」を経営していました。そこは自分が踊るために作ったもので、バンドや歌に関してここで楽しめるものを見せたいということで始めたんです。
しかし、見込みが違ったようで、ここで活動してくださるアーティストは見つからないし、お客様も入ってこない時期が続きました。そこである日、同期の美郷真也(元雪組・宙組男役、のちに宙組組長)さんに相談したところ「あなたの古巣はどこ? 一番あなたの力になってくれる人は誰? 宝塚に反発して自分でやってきたのは十分認めるけど、本当に必要とする時に頼るものがあるって幸せよ。そこに目を向けてみたら」と言われたんです。
竹山:はやせさんにとってはこの言葉が転機になったのですね。
はやせ:はい。同期の初風緑(元花組・月組男役)も自分のことのように親身になってくれて、次々に上級生や下級生に連絡をしてくれ、輪が広がっていき、皆さんがライブを開催してくれるようになったんです。最終的には大先輩の榛名由梨(49期、元月組・花組男役トップスター)さんまで来てくださって「この店はOGで盛り上げるからね」って言っていただいて。宝塚の絆とつながりのありがたさが身に染みました。
OGの方たちからは「こういうこぢんまりとしたところでやりたかった」って言っていただきましたし、ファンの方たちからも感謝していただいたり。私はマイケル・ジャクソンが大好きで、今でもいろいろなことをやっています。「ライブカフェはやせ」はマイケルファンの聖地、宝塚ファンの聖地とも言っていただき、私の本当に好きなことが2つ叶ったお店になりました。2017年に閉店しましたが、本当に良い4年間でした。
竹山:それからいろいろなOGの方とのステージなどもされているのですね。
はやせ:その「ライブカフェはやせ」がきっかけになり、OGの方たちから声をかけていただき、お仕事をいただくことにもつながりました。それまではOGの方たちの連絡先もまったく知らず、同期の連絡先しか分からなかったのでありがたかったです。
竹山:7月9日にもまた、OGの皆さんとの公演「Don’t Stop the show ∀」(東京都品川区・スクエア荏原ひらつかホール)がありますね。
はやせ:楽しみです。今活躍している11人、ご自身の得意分野を貫いている方たちに「1日限りのドリームチーム」として集まっていただき、すごいショーを企画しています。
竹山:みんなでまた集まり、一つのものを作っていくエネルギーはすごいですよね。
はやせ:やはり同じ釜の飯を食べてきた仲間。学年や世代が違っても、やっぱり宝塚という一つのものがあるので、それだけでみんなが信頼し合い、リスペクトし合って集まっているのは素晴らしいことです。
竹山:そうしたつながりを持つきっかけを作ってくれた同期の74期は、はやせさんにとってかけがえのないものですね。絆が強い期として有名です。
はやせ:本当に素敵な仲間です。そんな絆ができたのも、やはり宝塚歌劇団の先輩方によるご指導のおかげだと思っています。
<次回に続く>
愛知県名古屋市出身。父は中日ドラゴンズなどで活躍した元プロ野球選手の江藤慎一、母は元宝塚歌劇団44期の瀬戸みちる。1988年に宝塚歌劇団入団(74期)、1994年3月に退団。その後は宝塚歌劇団の専属振付家だった喜多弘氏のアシスタントを経て、ダンサー、コレオグラファー、ダンス講師として活動中。また今年20周年を迎えるダンススタジオ「SHO-MA PARK」を経営し、自身で構成・演出・振付をこなすダンスライブでは、さまざまなダンススタイルをダイナミックに表現している。主な振付とステージングは、ガールズグループ「新生・東京パフォーマンスドール」、宝塚歌劇団74期30周年記念公演、元雪組トップスター杜けあき40周年記念コンサート、品川文化振興事業団主催「輝け! しながわジェンヌ/宝塚OGショー Espoir de TAKARAZUKA」、元花組トップスター高汐巴舞台50周年記念公演「Respect Me!」(作・演出 三木章雄)など。
「Don’t Stop the show ∀」
【日時】7月9日(土)午後1時/午後5時
【会場】スクエア荏原ひらつかホール(東京都品川区)
【出演】若葉ひろみ 五月梨世 華村りこ 五嶋りさ 一紗まひろ はやせ翔馬 楓沙樹 夢輝のあ 矢吹世奈 凰羽みらい 水沙るる
【金額】全席指定5500円(高校生以下3000円)
【販売窓口】スクエア荏原/メイプルカルチャーセンター/O美術館(品川文化振興事業団)
【ウェブ】https://www.shinagawa-culture.or.jp/(品川文化振興事業団公式ウェブサイト)
【電話】03-5755-2064(文化企画係、10時~)
(Hint-Pot編集部・瀬谷 宏)
(インタビュアー:竹山 マユミ)
竹山 マユミ(たけやま・まゆみ)
明治大学卒業。広島テレビ放送のアナウンサーを経てフリーアナ、DJとして各テレビ局やラジオ局で番組を担当。コーピングインスティテュート コーピング認定コーチ。宝塚歌劇団は生まれる前から観劇するほどの大ファン。