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カルチャー

日本人俳優が感じた「これぞハリウッド」な瞬間とは 苦節10年で世界的な話題作に出演

公開日:  /  更新日:

著者:関口 裕子

目が出ない日々に刺激をもたらした渡辺謙さんの舞台

 2017年からはコミュニティ・カレッジ(公立の短期大学)の音楽学科の特別プログラムに入りました。入学するには、オーディションに合格する必要があります。合格後の約3年間は国からサポートをもらいながら、フルタイムで学生生活を送りました。この3年間が、一番英語力をつけることができた時間だったと思います。

常に笑顔を絶やさない安生めぐみさん【写真提供:ビターズ・エンド】
常に笑顔を絶やさない安生めぐみさん【写真提供:ビターズ・エンド】

――物事を楽しむようにと意識を変えたわけですが、ポジティブなマインドを得るために具体的には何をされたのでしょう?

 簡単に言えば、日々の生活から少しずつ嫌なことを減らしていきました。ラーメン店でアルバイトをしていた時、実は精神的にも身体的にもつらいなと感じていました。そこで、渡辺謙さんが出演されていたミュージカル『王様と私』をブロードウェイまで観に行ったんです。

 元々ミュージカルをやりたかったこともあって、「私も演じてみたい」という思いが強く燃え上がり、それがきっかけとなってロサンゼルスのコミュニティ・カレッジに行くことを決め、音楽の勉強を再スタートしました。在学中は音楽だけでなく、他の科目やヨガのクラスなども受講し、アルバイトもなるべく自分の好きなことをやろうと思い切って変えました。

――素晴らしい。当初、ヨガクラスは軽い気持ちで受講し始めたそうですが、そのヨガが大きな存在になっていったわけですね。

 そうですね。ティーチャートレーニングを受けてヨガを指導する資格も取り、一時期はインストラクターとして働く機会も得ました。カレッジの音楽学科のプログラムを修了後は、その経験をフルに生かして、ミュージックスクールで歌を教える仕事(ボイスレッスン)を始めました。やりたくなかったアルバイトから、ヨガ指導、そしてボイストレーナーと仕事を変えたことで、とても心が楽になっていきました。もちろん、演技と歌で「表現すること」が最終目標で、ようやく今その挑戦の真っ只中にいるところです。