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仕事・人生

ネパールでピーナッツバター工場設立した日本人女性 「女性で良かった」と感じた理由とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・佐藤 直子

株式会社SANCHAIの代表・仲琴舞貴さん【写真:Hint-Pot編集部】
株式会社SANCHAIの代表・仲琴舞貴さん【写真:Hint-Pot編集部】

 現地の人々が幸せに暮らすための経済基盤を作ろうと、ネパールの小さな村・コタンにピーナッツバター工場を建てた仲琴舞貴(なか・ことぶき)さん。そのピーナッツバターをきっかけに、工場で働く女性たちは成長と自信を身につけ、日本の消費者はネパールを身近に感じるようになりました。さまざまな分野で活躍する女性たちにスポットライトを当て、その人生を紐解く連載「私のビハインドストーリー」。後編では、「ツールを通して価値やインパクトを作りたい」という仲さんの価値観について伺いました。

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転機となった写真家・ホンマタカシ氏のワークショップ

 今では株式会社SANCHAIの代表を務める仲さんですが、キャリアのスタートは福岡県で、父が経営する美容室のマネジメント職でした。その後、何度か転職を経た後、東京で就いたのが大手コンビニのリサーチ職。残業や休日出勤が認められない就業規則だったため、興味深い仕事でしたが自由になる時間が多かったといいます。

「せっかく時間があるから何かしようと思っていた時、立ち寄った本屋さんで偶然、写真家のホンマタカシ氏がワークショップを開催すると知ったんです。面白そうだなと受講し始めたら、これが本当に面白くて面白くて。私にとって写真の面白さとの出合いが一つの転機になりました」

 そこから写真にハマり、コンセプチュアルアートに興味が湧き、暇さえあれば美術館やギャラリーに通ったのだそう。写真やアートの道に進みたいと思ったものの、「特殊な業界に30代半ばの未経験者が飛び込むのは無理に等しい……」と判断。その時に取り組んだのが「私は写真やアートの何が好きなんだろうと深掘りする」作業でした。

「東京でウィリアム・エグルストン風に撮った」という仲さんの作品【写真提供:仲琴舞貴】
「東京でウィリアム・エグルストン風に撮った」という仲さんの作品【写真提供:仲琴舞貴】

「この作品は面白いけど、あの作品は特に興味がないと感じる私の軸がある。それを深掘りしてみました。例えば、写真のような表面に見えるものにとらわれすぎると、大切なものが見えなくなると感じて、写真の何に面白さを感じているのだろうかと因数分解してみたんです。すると、私が惹かれるのは目に見えないことを顕在化させる仕組みだと気づきました。写真やアートはツールであって、そのツールを通して伝えたいものは何かを考えさせる仕組みを作りたかったんですね。だったら、そのツールは写真やアートではなく何でも代用できると思いました」