仕事・人生
ネパールでピーナッツバター工場設立した日本人女性 「女性で良かった」と感じた理由とは
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ピーナッツバターというツールを通して生み出す価値観
そんな時に出合ったのが、ネパール行きのきっかけとなったIoTサービスを提供するスタートアップ企業。転職した仲さんは、音を介するコミュニケーションツールを使って、ネパールの学校運営に寄付をする側と受ける側の思いをつなげ、寄付の仕組みを強化するプロジェクトを担当することに。
「寄付をする側にとってはお金以上に自分の思いが届いているかが重要で、寄付される子どもたちも与えられた環境でモチベーションを持って勉強できるかが重要。IoTのプロダクトを使って両方の思いをつなげたいと考えているうちに、寄付がいらない仕組みを作れたらいいなと思うようになりました」
寄付を必要としない経済基盤を作るためにはどうしたらいいか。そこで仲さんが着目したのが、現地で昔から作られているピーナッツでした。品種改良されずにコタンで受け継がれた小粒なピーナッツを原料に、現地アシスタントを務める村の青年が工場長となり、面接で選ばれた8人の女性が作るピーナッツバター。トロッとした濃厚な味わいの奥に、ヒマラヤ岩塩とブラウンカルダモンが感じられる絶品で、日本でもファンが急増中です。
工場で働く女性たちはピーナッツバターが日本の消費者に喜んでもらえていることに幸せを感じ、日本の消費者はピーナッツバターが作られるネパールに関心を持つようになる。あるいは、工場の女性たちが人生の変化に喜びを感じているように消費者は感動を覚え、その消費者の応援に工場の女性たちはさらに力づけられる。仲さんは「ピーナッツバターはあくまでツール。ツールを通してどういう価値観を作るか、どういうつながりを作るか、どういうインパクトを作れるか、そこをいつも考えていますね」と話します。
表面的なものだけではなく、その奥には何が隠れているのかを深掘りする。面白いと感じることを因数分解し、最後には何が残るのか考えてみる。何か課題にぶつかった時には、こうした方法で自分と向き合ってみるという仲さんですが、この作業をするようになったのはホンマタカシ氏を通して写真の面白さを知ったことがきっかけでした。