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「日本の食品廃棄は独特」 日本人女性が取り組むフードロス解消のための信念とは

公開日:  /  更新日:

著者:柳田 通斉

日本の食材廃棄の理由が他国とは違うことに着目 ラグジュアリーブランド側とつなぐ

フードロス問題に積極的に取り組む山田早輝子さん【写真:荒川祐史】
フードロス問題に積極的に取り組む山田早輝子さん【写真:荒川祐史】

 山田さんは、食文化の伝統と発展に寄与する国際ガストロノミー学会の任命で、2011年に日本ガストロノミー学会を設立。同会でこの問題に取り組むことも検討したそうですが、食材廃棄の理由が日本と他国では違うことに気づき、国際社会への寄与を基盤としている国際学会ではなく、日本の課題に絞って独自で動くことを決意しました。

「例えば米国では車で長距離を移動中に腐ったという理由で食材が廃棄されますが、日本では見た目が理由になったりします。これは国際的にも独特なことで、日本ガストロノミー学会の研究が寄与できないと感じました。

 そこで、農家とラグジュアリーブランドの組み合わせを発想しました。日本の農作物は、廃棄となる規格外品でもクオリティが高いのです。その中で私たちが使えるものを探し出し、クオリティや職人の魂を大事にするラグジュアリーブランドのレストランなどに使ってもらう。農家とは対照的な存在にも見えますが、親和性は高い。そして、多くの方々に関心を持ってもらえると考えました」

 ただ、この事業の意義をラグジュアリーブランド側に伝え、理解を得て動き出すまでには苦労が伴ったそうです。

「元々知り合いだった『アルマーニリストランテ』(東京都中央区)のシェフは『やろう、やろう』と言ってくれましたが、イタリア・ミラノの本社では当然、『ブランドを守るため一から検討』となりますよね。そうした壁を乗り越えるために、東京の支社からご理解をいただき、一つひとつ突破していきました」

 こうして「ラルフ ローレン」と「アルマーニ」、「ブルガリ」が共鳴。今では、多数のホテルともコラボレーションしています。

「ラグジュアリーブランド側がクオリティを担保してくれることによって、他の会社も規格外品を怖がらなくなることに意義があると考えています。さらに言えば、大気中にあるCO2(二酸化炭素)の52%は、世界人口で10%の富裕層が排出しているというデータがあります。そして、10%の人たちへのリーチを考え、フードロス問題で富裕層が好むラグジュアリーブランドと組めた意義もあります」