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子どもに十分な休みと遊びを ドイツ在住日本人サッカー監督が語る“超回復”理論とは

公開日:  /  更新日:

著者:中野 吉之伴

「やらなければならない」 プレッシャーのもとでの練習は禁物

夏休みに自主練をすることもほとんどないドイツ。一方で“遊びの延長”としてスポーツに興じる子どもは多いという(写真はイメージ)【写真:写真AC】
夏休みに自主練をすることもほとんどないドイツ。一方で“遊びの延長”としてスポーツに興じる子どもは多いという(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 ところが、体が十分に回復していない状態ですぐに次のトレーニングをすると、さらに負担がかかり、ダメージだけが蓄積していくことになります。まったく回復しない、つまり強靭にはなっていない。そうした中で猛練習を繰り返しても、体は怪我をしやすくなるだけでしょう。

 体だけではなく、心や頭にもコンディションがあり、日常生活やトレーニング、試合でダメージを負います。それをほったらかしにしておくのは危険です。

 何をストレスに感じるかは人それぞれ。例えば、夏休みの間にサッカーをしちゃダメだ、なんてことはドイツでは誰も言いません。時間を見つけて友達と一緒にグラウンドでプレーをする子どもたちはドイツにもたくさんいます。でも、それは彼らにとってトレーニングではなくて“遊びの延長”。それが大事なのでしょうね。

 日本へ行くと、「(長期休暇中に)どんな自主練をしたら良いですか?」とよく意見を求められます。ただ、自主練習をしているドイツの子どもたちの姿を僕は現地でほとんど見たことがありません。前述したように、友達と一緒にサッカーをするのはしょっちゅうですけど、日本のSNSで散見されるようなボールタッチ、リフティング、ドリブル、パス、シュートの練習を黙々と一生懸命やるということはありません。

 もちろん、それを楽しんで夢中になっているのなら問題はないですが、もしお子さんが「やらなければならない」というプレッシャーやストレスを感じながらやっていたらぜひ止めてあげてください。

「日本だとグラウンドへ自主練習をしに行ったら同じ考えで集まった親子連れでいっぱいで、みんなリフティングやボールタッチの練習をしていた」なんて話を知り合いの指導者から聞いたりします。それだけサッカー好きが集まっているのだったら、みんなで2チーム作ってミニゲームを何度もやった方がよほど良いのではないかと思ってしまいます。