仕事・人生
「猫のダヤン」の池田あきこさん 60歳で始めたライフワーク 熱帯雨林を買い取る理由とは
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ボルネオ島オートバイ縦断で見た光景とは
「夫が『こんな面白いツアーがあるよ』って見せてくれたのが、オートバイでボルネオ島を縦断するツアーでした。ボルネオ島にはマレーシア、ブルネイ、インドネシア3か国の国境があるんですが、7泊8日かけて1500キロを走破する3か国越えの過酷な旅。けれど、赤道に惹かれた私は、会社のデザイナーを誘って行ってみることにしたんです」
この旅の途中で池田さんは転倒してしまい、最後まで走り切ることは叶いませんでした。しかし、そのおかげでボルネオ島が直面する「ある問題」について知ることができました。それは、森を破壊して広がり続けているプランテーションの存在です。
「病院に行ったら、旅行会社の社長が来てたくさん話をしました。旅の最中にアブラヤシの森がそこかしこにあって気になっていたんです。そこで、1950年に島の86%を占めていた熱帯雨林が60%までに減少している現状を知って。事なかれ主義でいるのが嫌な私は、日本に帰ってきてすぐこの問題に向き合うと決めたんです」
編集者の心を動かした熱帯雨林とダヤン
日本に戻った池田さんは、巻頭特集を毎年行っている絵本雑誌「MOE」(白泉社刊)の編集者に、ボルネオ島を取り上げたいと相談します。しかし、日本では知名度が低いボルネオ島。最初は難色を示されてしまいました。
そこで池田さんは、ボルネオの森にいるダヤンのイラストを描き上げて、再度提案をすることに。そのイラストは編集者の心を動かし、「ダヤンの故郷・地球を守ろう―SAVE THE FOREST―」という特集の取材のため、再びボルネオの地を訪れることが叶ったのです。
前回の訪問で「緑の回廊」プロジェクトについて知った池田さんは、2回目の訪問でますますその必要性を熟知します。ところが、広大な森を購入するには池田さん個人の支援だけでは、到底及びません。そこで会社全体を巻き込んでのチャリティ活動を立ち上げました。