仕事・人生
元宝塚娘役トップ月影瞳さんが「完璧な方」と語る レジェンド轟 悠さんの“本当の”優しさ
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インタビュアー:竹山 マユミ
「宙組」誕生で“大シャッフル” 雪組への組替えで「できないとは言えない」
竹山:月影さんが娘役トップになられたのは、星組が最初でしたね。
月影:1作だけ麻路さき(69期、元星組男役トップスター)さんと組ませていただいて、とても勉強させていただきました。
竹山:麻路さんは非常に包容力のあるかっこいいトップさんでした。
月影:そうですね。私と組む前に2年半ほどトップをされていた大ベテランでしたので、1作だけでしたが、いろいろ教えていただきました。現在の麻路さんは海外在住ですが、こちらに帰ってきた時は星組のメンバーとごはんを食べに行くくらい仲良くさせていただいています。
竹山:男役トップスターさんはそのままで、娘役が代わって自分が引き継ぐというのはどういうお気持ちなのですか。
月影:前任の白城あやか(74期、元星組トップ娘役)さんにはたくさんのことを教えていただきました。おかげさまで、今でもすごくかわいがっていただいています。
竹山:その1作だけで雪組へ組替えとなりました。これは突然のお話だったのでしょうか。
月影:宝塚の中に組が1つ増えて「宙組」ができることになり、みんなが動くことになったのです。
竹山:シャッフルがあるというのは聞いていたのですね。
月影:私は雪組に行くことになりました。当時、雪組の男役トップスターだった轟 悠(71期)さんとは雑誌の撮影で1度だけお会いしましたが、お話ししたことはありませんでした。そのような中、この時の組替えでいきなり組むことになったのです。
当時は同期が3人雪組にいました。同期以外は私をまったく知らないので、恐らく「どういう人が来るのかな」と思っていたと思います。私は雪組育ちではないので、組の雰囲気など分からないことだらけでしたが、トップとして雪組に来たわけですからできないとは言えません。同期に支えられながら、何とかそのプレッシャーに耐えていました。
竹山:トップ娘役としての“スライド組替え”という形でしたから、ご苦労も多かったと思います。
月影:よく受験生などが英単語などを覚える時に使う「単語帳」ってありますよね。それに雪組メンバーの芸名とニックネームを書いたものをずっと毎日持っていました。早く皆さんのことを知らなければならなかったので必死でした。
竹山:組を異動された時は、芸事はもちろん作品作りもされないといけないわけですから、そこに溶け込むということも必要なのですね。
月影:溶け込むことも重要でしたが、この時はお稽古から本番までの時間がとても短く感じ、慣れるというよりは「もうやらなきゃいけない」という感じでした。ただ、あの時の組替えは新たに1組作ったわけですから、4つの組から確か合計で100人くらい異動しているんです。だから「私だけではない」という気持ちもありました。「みんな大変なんだ」って言い聞かせていました。同期を含め雪組の皆さんが温かく迎えてくれたのが幸いでした。