仕事・人生
日本人女性がケニアで学んだ人生の本質 変化した「ハッピー」のとらえ方
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ケニアで味わった第2の挫折「できないところも全部さらけ出そう」
そんな河野さんの価値基準を大きく変えたのが、夫・邦彦さんとの出会いでした。
出会ったのは、教員免許を取った後、会社員として働き始めた不動産会社。職場の先輩だった邦彦さんには、アジアの発展途上国で起業したいという夢があり、付き合い始めて1か月後には会社を辞めてインドに行ってしまったそうです。それでも結婚しようと思ったのは「彼と一緒にいたら、先が予想できない楽しい人生になるな」と感じたから。そして、その感覚は間違いではありませんでした。
インドや東南アジアで事業展開した邦彦さんは2017年、今度はケニアで赤玉ネギの卸売事業を起業。翌年、河野さんもケニアに移住し、アフリカ布との出会いから「RAHA KENYA」が誕生しました。
たった1人でアパレルブランドを立ち上げるまでの奮闘は前編でご紹介した通り。「邦彦さんの妻」ではなく「河野理恵」としてのアイデンティティを見失いかけた経験を、河野さんは「第2の挫折」と呼びます。ここでも大きな気づきと成長がありました。
「『就活で60社に落ちた』って、ケニアに移住してから言い始めたことなんです。それまで見栄があって言えなくて。でも、第2の挫折でまたどん底に落ちて、本当に何もできないんだって思い知らされた。そうなった時、私はできない人間なんだから、できないところも全部さらけ出そうと思って、ツイッターで『就活で60社落ちた』ってつぶやいたんです。それでも楽しく生きていられるよって伝えたくて。そうしたら、ものすごく反響と応援をいただいたんです」
この体験を経て「失敗=恥ずかしいこと」という概念は、「失敗=応援者を増やす経験」と180度転換。今では「失敗は強み。逆にいきなり成功する方が怖いなって思います」と話します。ケニアの職人と行うアフリカ布を使った洋服やバッグ、小物などの制作は、納期が遅れたり、サンプルと違うものが出来上がったり、ハプニングの連続。その様子も河野さんは包み隠さず、いい意味で面白がりながらSNSで報告しています。