仕事・人生
日本人女性がケニアで学んだ人生の本質 変化した「ハッピー」のとらえ方
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職人の言葉にハッとさせられ…「家族がいれば幸せなんだ」
人が失敗を重ねながら成長していく姿は、物作りに通じるものがあると感じているそう。物作りは何度もサンプルを作り、改良を重ねて、やっと思い通りの商品が出来上がります。トライし続けることの大切さを物作りが教えてくれました。
「失敗はすればするほど成功に近づく。失敗は悪いこと、失敗は怖いと思って挑戦できない人は多いと思います。でも、恐れて変わらないままでいるより、失敗しても挑戦し続ける人の方が応援されるし、自分が楽しく生き生きしていられる。私も何で昔はあんなに失敗を恐れていたのか、今では不思議に思いますね」
ケニアでは職人たちから、人生の本質に気づかされることがあるといいます。
「ケニアにはその日生きることに精一杯な人も多くて、『今月もあなたのおかげで家族を養うことができたよ』と言われます。ある職人さんはスラム街出身で、家には家族10人がギュウギュウになって住んでいても、にぎやかでみんな笑顔。『僕はお金持ちではないけれど、家族がいれば幸せなんだ』っていう言葉を聞いてハッとさせられましたね」
個性豊かなアフリカ布を通じて、誰かの「一歩踏み出すきっかけ」になりたいと立ち上げた「RAHA KENYA」。「ありがたいことに日本のお客様にとってのきっかけを作り始めることができている実感があります」と話す河野さんは、次のステップとしてケニアの人々にも「きっかけ」となる場を作りたいと考えているそうです。
「ケニアに土地を買って、店舗やミシンを使った職業訓練ができる場所、日本の方が泊まれる宿泊スペースがある複合施設を作りたいなと思うようになりました。ケニアに恩返しをしつつ、誰かが困ったり迷ったりした時、あの場所に行けば何かが変わるかもしれない、と思ってもらえるような場所が作れたらいいなって」
「RAHA KENYA」の「RAHA」はスワヒリ語で「Be Happy(幸せな)」という意味。そこには河野さんの飾らないまっすぐな思いが込められています。
「以前は『ハッピー』って軽く思えて、あまり好きではなかったんですよ。でも、今は『ハッピー』が一番。みんなが『ハッピー』って感じられる社会になったらいいなと思います」
神奈川県生まれ。大学での就職活動では60社に全落ち。卒業後は介護職に就くも1年で離職し、アルバイトをしながら通信制の大学で教員免許を取得。だが、教育実習でその大変さを知り、教職を諦めて不動産会社に就職。2018年2月に夫の起業に合わせてケニアに移住し、同年12月にアフリカ布を使ったアパレルブランド「RAHA KENYA(ラハケニア)」を立ち上げた。2020年に1児の母となり、子育てにも励む。
(Hint-Pot編集部・佐藤 直子)