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元宝塚娘役トップ月影瞳さん 轟 悠さんを「いつまでも尊敬できる」理由と深い思い

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・瀬谷 宏

インタビュアー:竹山 マユミ

娘役トップとして活躍された月影瞳さん【写真:荒川祐史】
娘役トップとして活躍された月影瞳さん【写真:荒川祐史】

 宝塚歌劇団の各組が魅せる個性、それを表現する代表的な存在といえば、もちろんトップ男役と娘役のコンビ。これまでも多くのゴールデンコンビが“伝説”として語り継がれています。近年では、レジェンド男役として活躍された轟 悠(とどろき・ゆう)さんと月影瞳さんの雪組コンビが記憶に新しいでしょう。宝塚の世界をOGたちの視点からクローズアップする企画「Spirit of タカラヅカ」。月影瞳さんへのインタビュー最終回は、現在の轟さんとの関係と公演当時のエピソードなどについてお届けします。聞き手はフリーアナウンサーの竹山マユミさんです。

 ◇ ◇ ◇

月影さんとのコンビに感謝している…轟 悠さんの言葉に涙

竹山マユミさん(以下竹山):月影さんと轟 悠さん、雪組時代のおふたりはどのようなトップコンビだったのですか。

月影瞳さん(以下月影):轟さんが昨年の退団時に受けられたインタビューで、雪組時代はとても楽しかったという内容を話されていました。しかもその中に、月影瞳が相手役だったことに感謝しているといったことも……。そのインタビューを読んで、私はうれしくて泣いてしまいました。

 2021年7月の寺田瀧雄先生のメモリアルコンサートの時に、轟さんから、「グン(月影さんの愛称)が相手役で良かった」と、舞台の袖で言われて泣きそうになり、ぐっとこらえたことがありました。退団時のインタビューの言葉は、メモリアルコンサートの時の言葉と同じくらい、とてもうれしかったです。

 寺田先生のコンサートでは、20年ぶりに同じ舞台に立って「雨の凱旋門」を歌いました。同じ舞台に立つことは叶わないと思っていた中で、この機会をいただいたので、必死にその景色を目に焼き付けました。

 轟さんと舞台に立つと、20年前の雪組時代の楽しい思い出がよみがえり、目を合わせると当時に戻ったかのような感覚に落ちたことを覚えています。インタビューや舞台袖での言葉は、雪組時代の楽しい思い出とともに忘れられないものになりました。私が轟さんに感謝することはもちろんですが、轟さんからの感謝を実感させていただいたその優しい言葉は、私にとっての宝物です。

竹山:ともにプロとして最高のものを築き上げていく世界で、トップコンビのおふたりにはご本人にしか分からない信頼関係があったのですね。

月影:トップをさせていただくと、2人ならではの悩み、苦しさがあると思います。轟さんは私の葛藤も受け止めてくださっていたので、今、役者をする上でも役立っていることがたくさんあります。自分とはかけ離れたさまざまな役をすることもありますが、常に楽しみながら演じることができるのは、轟さんに学ばせていただいた経験が、今につながっているのだと思います。

竹山:自立した1人の役者というあり方を、宝塚時代からずっと培っていらっしゃったのですね。

月影:ありがたいですね。当時は男役二番手(トップスターの次にあたるポジション)さんが、香寿たつき(72期、元星組男役トップスター)さんで、他にも、えまおゆう(73期、元雪組トップスター)さん、汐風幸(74期、元専科男役)さん、安蘭けい(77期、元星組男役トップスター)さん、朝海ひかる(77期、元雪組男役トップスター)さん、成瀬こうき(77期、元専科男役)さん、貴城けい(78期元宙組男役トップスター)さんなど、他にも多くのメンバーがいらっしゃいました。皆さんからも、役者としてのあり方をたくさん学ばせていただきました。

 昨年、轟さんがトップを務められていた当時の雪組の皆さんにメッセージカードを書いていただき、アルバムを作りました。雪組OGの皆様もカードを書くことを喜んでくださいました。退団公演の時にお渡しし、それを轟さんがとても喜んでくださって……。その時の笑顔は、轟さんが退団するという事実を受け止め切れない私の寂しい気持ちを和らげてくれる、とても穏やかで素敵なものでした。

竹山:本当におふたりならではの素敵な関係性ですね。

月影:何を思い出しても、感謝の言葉しか出てきません。