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平野レミさん“食べれば”シリーズ誕生秘話 家族がハッピーになるごはんとは
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「私の時短料理には天国の母も驚いているかも!(笑)」
そこで「簡単に作れるなら家でごはんを作りたい」人はぜひ、レミさん自身が忙しい日々の中で見つけてきたお手軽レシピに挑戦を!
例えば、とことん手間を省いた「手間0分うどん」というレシピは、包丁を一切使いません。そして冷凍うどんやマイタケ、豚バラ肉を入れて煮るだけです。
ミキサーにかけたり、こしたりと面倒くさいイメージのヴィシソワーズも、レミさんの手にかかれば「5分ヴィシソワーズ」という、トマトジュースを牛乳で割るだけのスープに。さらに、レミ流時短レシピの代名詞ともいうべき“食べればシリーズ”も見逃せません。
「実は“食べればシリーズ”って、コロッケからスタートしたんです。息子が幼稚園児だった頃、『コロッケが食べたい』って言うんだけど、その日は朝から大忙しで。コロッケを一から作るなんて大変!(笑) それで千切りキャベツの上に、炒めたひき肉と玉ネギを合わせて味付けしたマッシュポテトをのせて、上から砕いたコーンフレークとソースをかけて出したんです。『ごっくんしたら、コロッケだよ』って(笑)」
以来、「食べてのどで帳尻が合えばいいと思ったら、大きな気持ちになって」、食べれば水餃子になる「台満餃子」をはじめ、「食べればたこ焼き」「食べればカツサンド」など! “食べれば”シリーズは、どんどん増えていったそうです。
こうしたレミさんの時短料理の歴史は深く、実は結婚した当初から始まりました。特に思い出深いのは、実家のお母様が丁寧に作っていた「嫁いり豆腐」(レミさん流の“炒り豆腐”)。味はおいしいままに、簡単さを追求しました。
「私は気短だから、干しシイタケは戻さないし、お豆腐も水切りしない。母は天国でびっくりしていると思いますよ。『レミちゃん、お豆腐は水切りしないの? あら、干しシイタケも戻さなくて平気かしら?』って(笑)。でも、簡単に作れておいしいなら、それでいいんです」
料理は“かけた時間”ではなく、“込めた思い”で味が変わる
そうした時短レシピや調理アイデアがひらめくのは、「私が気短で、不精だから」と笑うレミさん。けれどそこには、ごはんを食べる家族への愛が透けて見えるように思います。
どんなに忙しくても、安心して食べられる“我が家の味”を家族のために作りたい。お腹が空いているのだから、できるだけ待たせずにごはんを出したい――。
「時短でも『一生懸命おいしいものを作ろう!』と思えば、目に見えないスパイスがいっぱい入って、『おいしい!』って食べる家族の顔を見ていたら、こっちもうれしくなって、相乗効果で、お互い幸せな気持ちがどんどん高まっていく。お料理って、そんなところも楽しいんです」
料理愛好家・シャンソン歌手。主婦として家庭料理を作り続けた経験を生かし、“料理愛好家”としてレシピ開発や著書執筆、講演など幅広く活躍。著書は50冊以上。“シェフ料理”ではなく“シュフ料理”をモットーに、おいしくて楽しい、オリジナリティたっぷりの料理を発信し続けている。明るくて元気な笑顔とキャラクターも、お茶の間で大人気!
「平野レミのオールスターレシピ 家族の絆はごはんで深まる」(主婦の友社刊)
本体1500円+税
レミさんが長年、家族のために作り続けてきた料理の中から、より手軽で楽しい気分になれる料理を厳選して紹介。世界旅行気分を味わえる一皿から、十八番である“食べれば”シリーズまでがズラリ勢揃い! レシピとともに、2019年に亡くなった最愛のご主人・和田誠さんとの思い出や、2人の息子さんご家族との温かな交流エピソードもたくさん掲載されています。和田家の皆さんがページをめくりながら、「これ、好きなんだよね」「また、この料理作って」なんて会話する姿が思い浮かぶ、家族アルバムのような一冊です。本の中のお料理はすべて自宅の食器に盛り付けられ、レミさん宅で撮影されたそう。眺めるだけでワクワクしてくる、色鮮やかな食器コレクションも必見!
(中塚 真希子)