Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

平野レミさん 嫁姑関係が良好なのは“ごはん”が決め手 家族がお気に入りのメニューは?

公開日:  /  更新日:

著者:中塚 真希子

最愛の夫が作ってくれたトマトの歌

ごはん作りが大変だと思った日は頻繁に作っていたという牛トマ【写真:邑口京一郎】
ごはん作りが大変だと思った日は頻繁に作っていたという牛トマ【写真:邑口京一郎】

 和田家の中心にいた夫の和田誠さんは、2019年の秋に天国へと旅立ちました。「台満餃子」をはじめとした和田さんが名前を付けたお料理や、レミさんが和田さんから教わった「5秒ヴィシソワーズ」は新刊にも掲載。そして、2人の思い出話もたくさん散りばめられています。

「和田さんは、この本に出てくる料理は全部食べていますね。全部おいしいって言ってくれていたから、『特にお気に入りだったのは?』なんて聞かれると困っちゃうんだけど……。『牛トマ』は『今日はごはん作るの大変だな~』って思った時に、しょっちゅう作っていましたね。それをパスタやごはんにのせたり、ブルスケッタみたいにパンにのせたり。サワークリームを添えたらボルシチみたいになるし。和田さんも大好きでしたよ!」

 そして「トマトはおいしいよね」とつぶやいたレミさんはふと、こんなことを言いました。

「私、トマトが大好きで。あまりにもトマトが好きだからって、和田さんがトマトの歌を作ってくれたんです」

 そう言うと、「♪トーマト、トマト、トマトー、あーかく酸っぱい~ トーマト、トマト、トマトー、太陽がいっぱい~」とフルコーラスで歌うレミさん。

「詩は全部、韻を踏んでいるの」

 歌い終え、そう誇らしげに微笑む顔がとても印象的でした。

 この歌は、レミさんがトマト好きだからと和田さんが作ってくれた、思い出の一曲なのだそう。そして、その歌をうれしそうに歌うレミさん。おいしいごはんが紡いだ夫婦の絆は、今もしっかりつながっています。

家族の笑顔を見るためにキッチンから幸せを発信しよう

 最後にレミさんから、忙しい中で毎日家族のためにごはんを作っている人たち、そして「Hint-Pot」読者に向けてメッセージをいただきました。

「手作りのお料理には心がこもり、絶対においしいから。みんな、ぜひお料理を作りましょう! 私はいつも、『キッチンから幸せ発信!』って言っているの。おいしいごはんを作って、家族に笑顔になってもらいましょう。本当に、“幸せはキッチンから”なんですよ」

 本の中でレミさんは、「作る人と食べる人が『おいしいね!』でつながると、絆もつながります」と読者に語りかけていますが、和田家みんなの笑顔を見れば、その言葉にも納得です。

 簡単なものでも、誰かが自分のために一生懸命ごはんを作ってくれたら。

 大切な人が、自分の作ったごはんを食べて笑顔になってくれたら。

 お互いに幸せで豊かな気持ちになれるはず。そうして、日々積み重ねられる「おいしいね」が、家族の絆を深めていくのでしょう。レミさんが届けてくれる、簡単で楽しくて、そしてとびきりおいしいお料理たちは、今日もどこかのおうちで、家族が幸せの絆を結ぶためのお手伝いをしているに違いありません。

◇平野レミ(ひらの・れみ)
料理愛好家・シャンソン歌手。主婦として家庭料理を作り続けた経験を生かし、“料理愛好家”としてレシピ開発や著書執筆、講演など幅広く活躍。著書は50冊以上。“シェフ料理”ではなく“シュフ料理”をモットーに、おいしくて楽しい、オリジナリティたっぷりの料理を発信し続けている。明るくて元気な笑顔とキャラクターも、お茶の間で大人気!


「平野レミのオールスターレシピ 家族の絆はごはんで深まる」(主婦の友社刊)
本体1500円+税
レミさんが長年、家族のために作り続けてきた料理の中から、より手軽で楽しい気分になれる料理を厳選して紹介。世界旅行気分を味わえる一皿から、十八番である“食べれば”シリーズまでがズラリ勢揃い! レシピとともに、2019年に亡くなった最愛のご主人・和田誠さんとの思い出や、2人の息子さんご家族との温かな交流エピソードもたくさん掲載されています。和田家の皆さんがページをめくりながら、「これ、好きなんだよね」「また、この料理作って」なんて会話する姿が思い浮かぶ、家族アルバムのような一冊です。本の中のお料理はすべて自宅の食器に盛り付けられ、レミさん宅で撮影されたそう。眺めるだけでワクワクしてくる、色鮮やかな食器コレクションも必見!

(中塚 真希子)