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おいしいナス 煮る、炒める、揚げる それぞれの栄養の違いは? 専門家に聞いた
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教えてくれた人:和漢 歩実
ナスと組み合わせたい 栄養を生かす食べ方とは
普段は副菜として食卓に登場する機会が多いナスですが、タンパク質を主成分とする肉や魚と一緒に油を使って炒めた料理にするとβカロテンの吸収率もアップし、栄養バランスの良い主菜になります。
例えば、暑さの疲れが出てくる今の季節は、豚肉を一緒に炒めた麻婆ナスはいかがでしょうか。豚肉にはタンパク質をはじめ、ビタミンB1が多く含まれています。ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変える時に必要な補酵素でもあり、疲労回復をサポートするでしょう。
また、麻婆ナスは一般的にショウガやネギ、唐辛子を使いますが、これらにはそれぞれ体を温める役割もあるので、体を冷やすとされるナスとのバランスが良く、相性の良い組み合わせといえます。暑さで疲れた体の回復や食欲増進にぴったりの主菜です。炒める油は質の良いものを使いましょう。
煮る(茹でる)と、カリウムやナスニンなど水溶性の栄養を逃してしまうので、電子レンジ調理も活用したいところです。切ったナスをアク抜きせずに耐熱皿に並べ、ラップをふわっとかけ、しんなりするまで加熱します。熱いところに好みのだししょうゆを絡ませると、水溶性の成分もくまなくいただくことができます。さらに、ゴマ油をさっとかけるとβカロテンの吸収率がアップします。
切り方にこだわってもおいしい
ナスは淡泊な味わいで、さまざまな料理に用いられます。加熱するとトロッとしてしまうので、存在感を出したい時は大きめにカットした方が良いでしょう。それぞれの切り方の特徴やコツを紹介します。
○輪切り
簡単な切り方。ナスを等間隔で切るのがコツ。
○斜め切り
斜めに包丁を入れることで輪切りよりも断面が広くなり、味が染み込みやすくなります。
○半月切り
ナスを縦半分に切ってから、輪切りのように等間隔で切っていきます。使い勝手が良いでしょう。
○乱切り
断面が多くなるので、味が染み込みやすく炒め物や煮物に良いでしょう。
○薄切り
縦に薄切りに。天ぷらなどの揚げ物にする際に火が通りやすいでしょう。
昔から日本で親しまれ、ご当地の品種も数多くあるナス。調理方法や切り方によって食卓でのバリエーションが広がり、旬の季節は大いに楽しめそうです。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾