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ドイツで猫を迎えるなら「5月の農家」 その理由に納得!? 日本人男性が運命の出会い
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保護主から紹介された5匹の子猫 “ハチワレさん”&“サバトラさん”と運命の出会い
そして瀟洒で落ち着いた雰囲気の田舎町に着き、何度か道を見失った末に車が1台通れるくらいの小路を入ると、その先で大柄な男性が大きく手を振って僕らの到着を待ちかまえていました。この方が農家のご主人、そして猫のお世話をしているのは奥さんだそうで、そのファーストコンタクトはとても和やかなものになりました。
「遠くからよく来たね。今、うちの奥さんが猫を連れてくるから、こっちの納屋で待ってて」
ご主人はそう言って、屈託のない笑顔を浮かべて農場の様子を教えてくれました。
「うちの農場では牛や鶏などを飼育しているよ。それと『ハウスティア(ドイツ語でペットの意)』として犬と猫もね(笑)」
大きなキャリーケースを抱えた奥さんが、僕らの前に猫を連れてきてくれました。ケースの中では、5匹の子猫たちがお互いの体を密着させて穏やかに寄り添っています。
「あれ? 今は6匹の子猫がいるとおっしゃっていませんでしたっけ?」
僕がそう尋ねると、奥さんが優しい微笑みを浮かべて返します。
「そうなのよ。でも、とても人見知りの子が1匹いて、家の中のどこを探しても見つからないの(笑)」
猫の性格は人間と同じく千差万別です。猫は総じて警戒心が強くて怖がりの傾向があります。それでも、1匹1匹、その子なりの性格があって、それがまた愛おしかったりするんですよね。
そんな中、1匹の子猫が仲間たちにせっせと自分の舌で毛づくろいをしていました。この子は誰にでも分け隔てなくコミュニケーションを図っていて、とても社交的な印象を受けます。僕の友人がその子猫に手を伸ばすと、愛嬌のある“ハチワレさん”は何の躊躇もなく友人の手のひらに飛び乗って頬ずりをしました。何て純真無垢で、人懐っこい子なのでしょう。
友人の手にしっかり抱かれているその子を横目に見ながら、僕は他の子猫の様子をうかがいます。その中の1匹に黒と白の“サバトラさん”がいました。この子は“ハチワレさん”に比べると少し警戒心がありながらも、僕が抱きかかえると穏やかに目を閉じてその場にとどまってくれました。
体の線は明らかにか細くて、一目で「女の子かな?」とも思いました。この子も“ハチワレさん”に頻繁に毛づくろいをされながらもくつろいだ様子だったので、仲の良さは折り紙付き。そこで僕はふと思いました。
“ハチワレさん”と“サバトラさん”、この2匹を我が家に迎え入れたい――。
日本で暮らしていた時代、ともに暮らしてきた猫は常に1匹でした。初めての多頭飼いを、しかも異国の地ドイツでできるのか……。
次回は、愛猫を我が家へ迎え入れるまでの過程を綴ります。
(島崎 英純)
島崎 英純(しまざき・ひでずみ)
1970年生まれ。2001年7月から2006年7月までサッカー専門誌「週刊サッカーダイジェスト」(日本スポーツ企画出版社刊)編集部に勤務し、Jリーグ「浦和レッドダイヤモンズ」を5年間担当。2006年8月にフリーライターとして独立。2018年3月からはドイツに拠点を移してヨーロッパのサッカーシーンを中心に取材活動を展開。子どもの頃は家庭で動物とふれあう環境がなかったが、三十路を越えた時期に突如1匹の猫と出会って大の動物好きに。ちなみに犬も大好きで、ドイツの公共交通機関やカフェ、レストランで犬とともに行動する方々の姿を見て感銘を受け、犬との共生も夢見ている。