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仕事・人生

コロナ禍を乗り越えて 日本の伝統文化を受け継ぎつなぐ女性の決心

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・出口 夏奈子

熊野筆作りを家業とする家に生まれた三村理紗さん【写真提供:三村理紗】
熊野筆作りを家業とする家に生まれた三村理紗さん【写真提供:三村理紗】

 日本政府観光局(JINTO)の統計によると、2019年には年間約3200万人だった訪日外国人数が、2021年には約25万人まで激減しました。コロナ禍で打撃を受けたインバウンド(訪日外国人旅行)事業でしたが、今年6月、停止していた外国人観光客の受け入れが再開。日本の観光産業にようやく復活の兆しが見え始めています。さまざまな分野で活躍する女性たちにスポットを当て、その人生を紐解く連載「私のビハインドストーリー」。日本の伝統や文化を、楽しみながら学ぶ体験型のツアーやイベントを行う「一般社団法人My Japan」の代表・三村理紗さんにお話を伺いました。前編は日本文化の継承と伝統への思いについてです。

 ◇ ◇ ◇

熊野筆作りの家業を継ぎ、気づいた課題

“日本文化の継承と確立”という理念を掲げて活動する一般社団法人My Japanは、広島県の熊野町にあります。熊野といえば、日本が世界に誇る「熊野筆」の街。日本人が育んできた「心」が生み出す伝統文化を次世代へつなげるため、三村理紗さんは仲間たちと一緒に2018年、「My Japan」を立ち上げました。

 きっかけは「サークルみたいな感じだった」と振り返ります。仲間と集まって話すうちに、日本の伝統や文化をもっと伝えていくためにイベントをやってみようとなったそうです。

「創業メンバーが私、お寺や神社の息子さん、書道家さんなど、いわゆる日本の伝統や文化を後世につないでいく人たちだったんです。実は私自身も、手作業で熊野筆を作る会社の娘だったこともあり、薄れゆくある日本の伝統や文化をもっと伝えていきたいと感じていました」

 さらに海外留学の経験も、伝統文化の継承への思いを後押ししました。

 大学時代は英語を専攻し、海外の文化に興味を持った三村さんは、ホームステイ先にお土産として熊野筆を持って行きました。そこで熊野筆の評判を耳にすると、率直に「うれしかった」そうです。この時「自分では当たり前で普通だと思っていたことが、海外ではそうではなくて興味を持ってくれる」と感じたといいます。

 帰国後に就職したのは、あえて英語を使わない仕事でした。「英語を話しているのは楽しいんですけど、それを仕事にすると楽しくなくなりそうだな」と思ったと振り返ります。商社に就職した三村さんは、美容院やエステサロンに業務用商品を販売する営業職に従事。そこでの経験を生かし、家業に転職しました。

 そこで、三村さんは熊野筆の流通について、あることに気づきます。「商品はいったん問屋さんに卸して、そこから各店舗に配送され消費者の手に渡っていきます。全国の小学校の授業で使う筆や書道教室の筆も作っているのですが、それぞれのエリアで問屋さんと取引をしているので、作り手と実際に使っている人との接点がないなあと感じまして」

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