仕事・人生
コンプレックスを武器に 身長180センチの元宝塚・悠未ひろさんを変えた「信じる力」
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インタビュアー:竹山 マユミ
音楽学校受験に大反対だった父 受験スクールでも「難しい」と言われ続けたが…
竹山:ご家族は何とおっしゃっていましたか。
悠未:父は大反対でした。芸事の家庭でもなかったし、「宝塚というすごいところに行きたいなんて、何を寝ぼけたこと言っているんだ」みたいなことを言われて。私は大泣きです。それを見ていた母は「初めて自分でやりたいと言っているんだから」と言ってくれました。父は絶対ダメという感じでしたから、内緒でバレエに行かせてくれることになり、習い事を始められたのです。
竹山:お母さまという大きな協力者がいてくださったおかげですね。何回目の受験で合格されたのですか。
悠未:3回目でした。中学3年の時にすぐに受験して、中卒で学校生活は終わりにしようという勢いでしたが、受験スクールでは「あなたなんて受験しても無駄よ」と言われてしまって……。しかも「性格が向いていないから、宝塚受験クラスではなく一般のクラスで」と見放されたような感じで。お先真っ暗でした。
私の通っていた中学、高校には歌劇部があって、そこのファンでもあったんです。宝塚に受験するために習い事をするのか。それとも歌劇部に入って、部活動として頑張って、普通に大学受験する道を選ぶのか。そんな中、宝塚を受験しようとされていた歌劇部の憧れの先輩から、ご自身が通われていた受験スクールを紹介していただきました。そこでも言われたことは同じです。背が高いのに手が伸びないとか、姿勢のことなども言われて「これでは難しいわね」という雰囲気でした。
竹山:かなり厳しい状況でしたね。
悠未:高校1年の時は1次も受かりませんでした。でも高校2年の時に1次を通ってからは、周りや先生からの見る目が変わりました。自分もやる気になって、高校を卒業して受かるのが人生でベストだと思うように。本当に若い時の信じる力ってすごいですよね。高卒で受かると思っていたんです。自分はそうなる、それ以外ないと思ってやっていたら、本当に高卒で、最後のチャンスで受かることができました。
竹山:3年間レッスンを続け、受験を繰り返した中で、引っ込み思案とおっしゃっていた性格には変化がありましたか。
悠未:宝塚の話題になると、“水を得た魚”のようにとても明るい気持ちになりました。大好きだから饒舌になり、真似もして。男役さんの歌い方を真似ることもありました。人前で歌を歌うといったことを一切しなかった自分が、宝塚が好きな友達に「歌を聞いて」とか言っていましたから。