食
「卵」から考える持続可能な暮らし 米国在住の日本人女性が伝える循環社会のヒント
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今やよく見聞きする「持続可能な社会」の実現。SDGsへの取り組みを国や企業などが掲げ世界的に注目されていますが、家庭や個人レベルではどのようなことができるのでしょうか? 米ロサンゼルス在住で3人の子どもを育てる小田島勢子さんは、食をはじめとした身近な視点から、自ら「循環させる暮らし」に取り組んでいます。その情報発信やコミュニティは人気で、今やオンラインで世界各地の人々とつながっているとか。今回の連載テーマは「卵のある暮らし」についてです。食べるだけではなく、使い切るアイデアとは。
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味わうだけでなく殻も生活に取り入れる「卵のある暮らし」
9月のロサンゼルスはまだまだ暑い日が続いていますが、夕暮れ時にそっと吹く風に秋の気配を感じます。裏庭にあるブドウ棚の葉は半分ほど落ち、外のテーブルに午後の木漏れ日が差し込むようになりました。
季節やところ変われば、身近で手に入るものも違うもの。そんな中でも、“卵”は世界中、どんな季節でも手に入れやすい食材ではないでしょうか。卵は旬の野菜など何にでもアレンジしやすく、腹持ちも良いので、子どもたちにも人気です。現在ヒヨコも合わせて7羽の鶏が一緒に暮らす我が家では、新鮮な放牧卵が手に入るありがたい環境にいます。
今回、「卵のある暮らし」についてお伝えしようと思ったきっかけの一つは、私が主宰するオンラインコミュニティ「食から始まる暮らしの循環 Rustic Farmers」でご参加の方から反響が大きかったことでした。世界でも身近な卵は、多くの人が気軽に実践しやすい食材だと感じています。
私の思い描く理想的な暮らしは「食材や資源をできるだけすべて使い切ること、残さないこと」。一般的に捨ててしまいがちな食材の皮や布の切れ端なども、次の何かにつなげることができないかと考えています。すべてのものに役目があることをイメージしながら日々を送る中で生まれた一つが、殻も生活に取り入れる「卵のある暮らし」です。