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どうぶつ

盲導犬候補の子犬を預かるボランティア一家 まもなく訪れる別れへ“卒業”準備

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

ジェニーを置いて家族旅行へ でも、心配すぎて…!?

 先日、毎年一緒に旅行をしていた友人から誘われて、子ども3人と私で旅行に出かけました。今年はジェニーがいるから……と一度は断ったのですが、パパの休みが取れ、ジェニーとお留守番をしてもらえることになったので、1泊だけ行くことに。

 夕方、いざ出発となり子どもたちと車に乗り込んだのですが、ジェニーが「クーンクーン」と寂しそうに鳴く声が聞こえてきて、車を出発させることができなくなったんです。

「どうしよう。やっぱりやめようかな」という思いが頭をよぎりました。でも、「あと1時間ほどでパパも帰ってきてくれる……!」と、心を鬼にして出発。それでも、旅先で頭に浮かんでくるのはジェニーのことばかりです。

「ちゃんとパパと仲良くできているかな。寂しくて鳴いてばかりいないかな。ごはんはちゃんと食べたかな。夜、ケージの中で寂しくなっていないかな」

 自分で思い出しても笑ってしまうほど、ジェニーのことばかり考えてしまっていました。翌朝はチェックアウト後、すぐに我が家へ。ジェニーのうれしそうな顔を見て、ようやく緊張の糸がほぐれました。

 でも、実は旅先で、友人からアドバイスがあったんです。「そんな状態じゃ、離れる時につらいのはジェニーの方。甘やかしすぎちゃダメだよ!」と言われ、ふと気づいたのです。「ジェニーとの暮らしに癒やされ、助けられているのは、実は私の方だったんだな」と。

家族でお出かけした服部牧場で動物とふれあうジェニー【写真提供:日本盲導犬協会】
家族でお出かけした服部牧場で動物とふれあうジェニー【写真提供:日本盲導犬協会】

 仕事を減らし、趣味の野菜栽培もやめ、ジェニー中心の暮らしになった今年。「大変」と思うよりも「楽しい」と思うことの方が圧倒的に多く、ジェニーのおかげで生活が色鮮やかになりました。

 甘やかしているつもりはないのですが、この生活が楽しくて、どこかでジェニーに依存してしまっていたのかもしれません。間もなく訪れる別れの日に、私自身が“ジェニー離れ”できるかどうか不安を覚える今日この頃……「私自身もジェニーとともに成長しなくては!」と、改めて感じています。

(和栗 恵)