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どうぶつ

盲導犬候補の子犬を預かるボランティア 近づくお別れに「バイバイ」を教える日々

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

ジェニーが大好きなママ真由美さんと【写真提供:日本盲導犬協会】
ジェニーが大好きなママ真由美さんと【写真提供:日本盲導犬協会】

 古澤さん一家の元には昨冬、日本盲導犬協会の日本盲導犬総合センター「盲導犬の里 富士ハーネス」から盲導犬候補のパピー(子犬)がやってきました。生後1歳頃になるまでの約10か月間をともに過ごすというボランティア、「パピーウォーカー」を引き受けることが決まったためです。月に一度のこの連載では、一家のママである真由美さんにパピーとの生活を語っていただいています。でもそんな楽しい生活は、残すところあとわずか……。今回は11月上旬に行われた「パピーレクチャー」の話題を中心に、盲導犬になるための訓練を目前に控えたパピーの成長についてです。

 ◇ ◇ ◇

兄弟犬が全頭集合! 盲導犬訓練士さんに率直な質問も

 11月上旬、我が家で暮らすパピーの「ジェニー」と、その兄弟犬が全頭集まっての「パピーレクチャー」が行われました。

 このパピーレクチャーでは、あらかじめ訓練士の方たちに対する質問を用意して、それに答えていただく時間がメインに取られています。そのため、私自身が不安に感じていたことを質問させていただきました。

「訓練する上で、大切にしていることは何ですか?」……私の質問に、訓練士さんからはこんな答えが返ってきました。

「一頭一頭の良いところを見つけてあげて、良さを引き出してあげます。苦手なことに目を向けるのではなく、好きなことや得意なことを見つけてあげて、褒めて、伸ばして、盲導犬として必要な訓練につなげていきます」

 これを聞いて、ホッと一安心。ジェニーは良いところをたくさん持った犬です。私たち家族の元を離れてからも、きっとたくさん褒めてもらって、得意なことを増やして、立派な盲導犬になってくれる……そう思えました。

良いところを伸ばす パピーも子どもも育て方は同じ

 盲導犬になると、一緒に歩くユーザーの身の安全を左右する瞬間もあると思います。そのため、盲導犬になる訓練はかなり厳しいものなのでは? と想像していたのです。

 そんな訓練にジェニーは耐えられるだろうか? つらい思いをしないだろうか? という不安があったのですが、杞憂であったと知りました。厳しい訓練というよりも、毎日コツコツと「褒められて楽しい」作業を繰り返し、盲導犬として大切なことを覚えていくそうです。

レクチャーを受けるジェニーと見守る古澤さん一家【写真提供:日本盲導犬協会】
レクチャーを受けるジェニーと見守る古澤さん一家【写真提供:日本盲導犬協会】

 また、盲導犬になるための訓練が始まる時も、いきなり難しいレベルの訓練を行うのではなく、少しずつレベルアップさせながら訓練していくそう。

 訓練期間も、犬それぞれの性格などにより異なるそうです。訓練を通して盲導犬には向かないと判断された場合は、キャリアチェンジをして別の道を歩む子もいますが、いずれにしてもパピーたちの性格やペースに合わせてくれるのだと知り、さらに安心しました。

 それと同時に「ああ、犬を育てるのも、人間の子どもを育てるのと一緒なんだ」と実感。我が家には子どもが3人いますが、一緒なんですよね。それぞれに長所と短所があります。子どもたちの持つ良いところを一つでも多く見つけ、褒めて伸ばしていってあげようと改めて考えさせられました。