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どうぶつ

盲導犬候補の子犬がついに旅立ち 約10か月を見守ったボランティア一家の奮闘記

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

「ホッとした。これが、今の一番の気持ち」

 今年1月にジェニーを迎えてから、ともに過ごした日々をママの真由美さんに振り返っていただきました。

初めて出会った今年1月、まだ両手に抱えられるほどの大きさだったジェニー【写真提供:日本盲導犬協会】
初めて出会った今年1月、まだ両手に抱えられるほどの大きさだったジェニー【写真提供:日本盲導犬協会】

「寂しい思いはもちろんありますが、ホッとしました。やはりお預かりしていた犬なので、怪我をさせることなく元気に送り出すことができたことを、サポートしてくれた家族に、そして日本盲導犬協会の方々に感謝しています。それでも、今日に至るまでの2週間は本当につらかったですね。寂しくて、涙が出ない日はありませんでした。

 犬を飼うことが初めてなら、パピーウォーカーも初めて。そのため、私自身にあまり余裕がなかったことが反省点です。もっとリラックスして接してあげたら良かったかも、あれもしてあげたかった、これもしてあげたかった……と、ジェニーのことを考えれば考えるほど、いろいろなことが頭に浮かんできます。

 ジェニーは本当にお利口な子でした。私をはじめ、家族の話に耳を傾けてくれる、そんな子だったんです。もしかしたら、察する能力が高いのかもしれません。盲導犬として、その能力がどれだけ役立つかは分かりませんが、もしも盲導犬になれた時は、持ち前の優しい気持ちを、サポートを必要とされている方のために発揮してほしいと思います。

 ジェニーとの思い出はたくさんありますが、ある程度大きくなってからは一緒に地元のカフェへ行くことが私の楽しみの1つになっていました。ジェニーとは人間のように言葉を交わすことはできませんが、一緒にいるだけで穏やかな時間を過ごすことができました。

 ジェニーはソファなどに座っている間、私の膝に頭をちょこんと乗せるのが好きでした。その姿も印象に残っています。本当に幸せなひと時でした。

 今後もボランティアを続けるか、新たに犬を飼うかといったことは、まったく決まっていません。でも、ジェニーからもらったたくさんの愛情を家族と分かち合い、私たち自身も、優しい人間になれるよう、頑張っていきたいと思っています」

(和栗 恵)