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カキは一度あたるともう食べられない? アレルギーと食中毒の違い 医師が解説
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感染と毒素によって生じる食中毒 カキアレルギーはタンパク質が引き金に
次に、カキで食中毒が起こる原因物質について説明します。主に3つの種類があります。
○食中毒の種類
病原体(感染するもの):ノロウイルス、腸炎ビブリオ
毒素:貝毒
日本で食べられるカキには、冬の真ガキと夏の岩ガキの2種類があります。ノロウイルスによる食中毒の原因となるのは真ガキです。
真ガキは、吸い込んだ大量の海水からプランクトンを抽出してエサにしていますが、同時にノロウイルスなどの病原体を取り込み、内臓に蓄積される場合があります。そのため、汚水が流出している可能性がある近海で獲れた真ガキには、ノロウイルスが含まれていることがあるのです。真ガキは11月~12月に多く出回るため、今の時期は注意してください。
また、腸炎ビブリオによる食中毒の原因になるのは岩ガキです。海水の温度が上昇する5月~9月の夏場に獲れたカキや魚介類には、腸炎ビブリオが付着している場合があり、不適切な取り扱いが行われることで菌が増殖し、食中毒を引き起こします。
ノロウイルスと腸炎ビブリオは、どちらも感染が成立することで食中毒が生じるため、症状が現れるまでに少し時間がかかります。ノロウイルスは24時間~48時間後、腸炎ビブリオは12時間前後と覚えておくと良いでしょう。
カキが蓄積した毒素により引き起こされる貝毒
一方で貝毒は、カキがある種の毒素を持った植物プランクトンをエサとして取り込み、人に有害な毒素を体内に蓄積した後、人がそのカキを食べることで食中毒を引き起こします。
○貝毒の症状
麻痺性貝毒:手足のしびれや頭痛。食後30分くらいで舌、唇などがしびれ、重症の場合は体が思うように動かなくなる
下痢性貝毒:嘔吐や下痢。食後30分から数時間で水様の下痢や嘔吐、吐き気、腹痛などの消化器症状が現れる
ただし貝類の生産海域では、都道府県や生産者などが定期的に貝毒の検査を実施し、食品衛生法の規制値を超える貝毒が検出された場合は、自主的に貝毒発生地域からの出荷を規制しています。このため、市場に出回っている貝類を食べても、貝毒による食中毒の心配はほとんどありません。