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最大限の注意を! 年賀状、初詣、お年玉…年末年始に気をつけたい法令違反リスク
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賽銭箱にお金以外のものを入れないで! 器物損壊罪に?
年賀状の確認も終わって、次の予定は初詣。中には大晦日の深夜から出かける人もいるでしょう。感染予防に気を配りながら、新しい年の幸運をお祈りしたいものです。そこでふとお賽銭箱を見ると、お金ではない何かが詰まっている……? 実はこれ、器物損壊罪にあたる可能性があるそうです。
「賽銭箱は基本的に、参拝者のお賽銭を入れてもらう目的で設置されているものです。その賽銭箱に本来の目的ではないものを故意に入れて、賽銭が入らなくなるようにするなどした場合、器物損壊罪に抵触する可能性があります」
その理由は、器物損壊罪の「損壊」が「物の性能・機能・効用を害する一切の行為」を指すため。物を物理的に「壊す」だけではなく、「使えない状態にする」行為にも成立するそうです。
「また、賽銭箱の中身は最終的に仕分け作業をします。そのため、強力な粘着物など入れたものによっては、業務妨害罪まではいかなくても軽犯罪法違反(他人の業務に対していたずらなどでこれを妨害した者)に抵触する可能性もあります」
酔った勢いで「お賽銭がないから代わりに食べ物で」など、余計なことを考えるべからず。ルールを守らない人には、ご利益ではなく罰がやってくるでしょう。
初詣での写真撮影 肖像権侵害にあたらないよう加工を
初詣の定番といえば、絵馬の奉納も外せません。SNS上では絵馬や参拝の様子を収めた写真をよく見かけますよね。でも、こうした写真を投稿する際にも注意が必要です。
「他人が写り込んだ写真をSNSなどに投稿することは、『肖像権の侵害』が問題になります。肖像権は、許諾なく写真や映像を撮られないことや、それを公表されないことなどの権利です。ただし、他人の姿が写り込むとすべて肖像権侵害というわけではありません。
最高裁の判例には、許諾なしの撮影が違法になるかは撮影された側のさまざまな要素を総合的に考慮して、『被撮影者の上記人格的利益の侵害が社会生活上受忍すべき限度を超えるものといえるかどうかを判断して決すべき』というものがあります。この『社会生活上受忍すべき限度』は一般的に、精神的なダメージが我慢の限度を超えた場合です。
また、写り込んだ側の個人を特定できる場合、肖像権侵害として認められる可能性が高くなります。よって、SNSに当該写真を投稿する際は、個人が特定できないようにモザイクなどの加工をした方が良いでしょう」
思い出作りとしての撮影は楽しいものですが、それを公に見せると問題が発生することがあるようです。「自分なら平気だから」という考え方も危険といえるでしょう。では、他人が書いた絵馬を撮影した場合はどうでしょうか?
「絵馬には個人の願いなどを書き込むことが一般的ですが、著作権法でいう創作的なものもあるでしょうし、また個人情報が書かれている場合も。そのため、絵馬を撮影してSNSに投稿すると、著作権やプライバシー権の侵害になる可能性があり、損害賠償請求などの対象になる可能性もゼロではありません。また、絵馬が奉納されている場所に『撮影禁止』の看板が掲げられていないかも注意が必要です」