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年末年始「トム・クルーズ自宅映画祭」のすすめ 2023年も世界を圧倒する60歳

公開日:  /  更新日:

著者:関口 裕子

米アカデミー賞ノミネート編:いつかは賞に輝く?

 米アカデミー賞授賞式の常連出席者というイメージのあるトム。『トップガン』、『7月4日に生まれて』、『ザ・エージェント』で主演男優賞に、『マグノリア』で助演男優賞にと計4回ノミネートされているが、まだ受賞はない。間違いなく演技派だと思うのだが。

○『7月4日に生まれて』(1989)オリバー・ストーン監督

 7月4日の米独立記念日に生まれたロニー(トム)は、愛国心から海兵隊に入隊し、ベトナム戦争に従軍。しかし戦場で誤って味方を射殺し、自分も半身不随になってしまう。また戦争の長期化は米国の財政を圧迫。帰宅したロニーに向けられたのは称賛の言葉だけではなかった。弟からは「兄さんみたいな人を増やしたくない」、ガールフレンドのドナ(キーラ・セジウィック)からも「戦争は間違っている」と言われ、自暴自棄になるが……。

 マネーメイキングスターの一人であるトム。世界で公開される出演映画は、これまで合計100億米ドル以上の興行収入を上げている。そんなトムだが、本作では興行成績が一定以上に達するまでギャラを取らず、および感覚を体に覚えさせるために1年間車椅子で過ごすという条件を飲み、ストイックに取り組んだようだ。半身不随になったロニー(トム)の鬼気迫るリハビリシーンは、そんな中から出てきたリアルなのだ。

 米アカデミー賞では、トムの主演男優賞を含む8部門にノミネートされたが、受賞したのはオリバー・ストーンの監督賞と編集賞だけ。でも映画は世界でヒットし、日本でも洋画興行7位にランクインした。また、彼が劇中でつけていたタイメックス社の腕時計「Safari(サファリ)」も流行。ちなみにトムの誕生日は7月3日だ。

○『ザ・エージェント』(1996)キャメロン・クロウ監督

 スポーツ選手のエージェント、ジュリー・マグワイアを演じたトム。米国では俳優業もエージェントとの二人三脚の仕事。トムにとってエージェントは観察しやすい役だったかもしれない。トムはこの作品でも、米アカデミー賞主演男優賞にノミネートされている。

1996年、『ザ・エージェント』米ニューヨークプレミアで。右は当時の配偶者ニコール・キッドマン【写真:Getty Images】
1996年、『ザ・エージェント』米ニューヨークプレミアで。右は当時の配偶者ニコール・キッドマン【写真:Getty Images】

 利益だけを評価基準とする大手エージェント会社勤務のジェリーは、選手自身に寄り添うべきだと会社に意見してクビに。シングルマザーの同僚ドロシー(レネー・ゼルウィガー)をアシスタントに新会社を設立する。彼のクライアントは、アメリカン・フットボールのスター選手ロッド(キューバ・グッディング・Jr)。ジェリーは、スターだが問題も抱えるロッドに心から寄り添うことで、困難をともに乗り越えようとする。

 ジュリーが心もとなくも成功へと歩んでいく様子は、心が弱っている時に見ると元気になること請け合い。ドロシーとのキュートなラブシーンも癒やしの効果大だ。ちなみにこの映画がヒットさせた「Show me the money!」という台詞は、「対価を支払う価値があることを示せ!(=論より証拠)」の意味。近年は大谷翔平選手がホームランを打った後に、現地実況が「Shohei the money!」ともじって使ったことも話題になった。