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自宅で作れる! “半生”干し芋レシピ 農家が教えるサツマイモのタイプや形状とは

公開日:  /  更新日:

著者:こばやし なつみ

大寒の時期に作りたい“半生”干し芋【写真:こばやしなつみ】
大寒の時期に作りたい“半生”干し芋【写真:こばやしなつみ】

 10月から2月頃がシーズンの「干し芋」は、素朴な味わいで子どもにも大人にも喜ばれるおやつですよね。国内の干し芋の約9割が茨城県で生産されていることをご存じですか? そんな同県で兼業農家を営み、少量多品種の米や野菜作りに取り組むこばやしなつみさんは、自宅で干し芋作りを楽しんでいるそう。2回にわたって、自家製干し芋の作り方をレクチャーします。今回は、干し芋に向いているサツマイモのタイプや、食感が変わって楽しいおすすめの3つの形状について説明します。

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初夏は梅仕事なら、真冬の芋仕事

 2023年の「大寒」は1月20日から。一年で最も寒い時期を迎えます。そんな寒さの中でも、お日様と空っ風を味方につけるならこれ! 今回は、毎年作っている自家製“半生”干し芋のレシピをご紹介しましょう。

 干し芋といえば、「田舎の冬のおやつの代表格」が私の幼少期のイメージです。しかし、今や「天然の高級スイーツ」の一つではありませんか。私が住む茨城県は、意外にも出荷全国1位の農作物が多くあり、北海道に次ぐ農業大国。家族や友人への食べ物のプレゼントの中でも支持率120%、「嫌いな人いないでしょ」とほぼ断言できるのが「干し芋」です。

 毎年、秋に掘った「紅はるか」はほぼすべて干し芋にして、冷凍したものを春先までゆっくり消費します。初夏が梅仕事なら、真冬は“芋仕事”。秋に収穫され貯蔵期間を経たサツマイモは、甘みが増して熟成された今の時期にとてもおいしくなります。

不格好な姿にむしろ愛着が湧く手作り干し芋 いろんな形を作ってみて

 昔ながらの定番の干し芋は平べったい形でややハード。乾燥しやすく、長期保存に向くという理由でこの形に行きついたのではと思います。

 一方、我が家で作る“半生”干し芋とは、丸3日間程度の天日干し期間を経て取り込んだ“半生”状態の干し芋(※)のこと。表面は乾きつつも中身はやや水分を残した状態で、干し芋と焼き芋の中間のような、ややねっとりしたソフトな食感を残して食べることできます。何十年と芋仕事をしている義父母が作るこの“半生”干し芋をきっかけに、私は干し芋の虜になりました。
(※)天日干し期間の目安は農家により異なります。

 その代わり、常温や冷蔵庫での保存期間は1週間程度。すぐに食べない分は冷凍保存しておくと、春先までおいしく食べられます。トースターで2~3分焼いてバニラアイスと組み合わせた干し芋アイスは、コンビネーションの妙が際立つ“超背徳スイーツ”です。

 好きなサイズや形にカットして干してみると、さまざまな食感を楽しめるのも自家製ならでは。やややわらかめに蒸し上げたサツマイモはもろく、包丁で慎重に切ってもボロボロと形が崩れてしまうのもご愛嬌です。形が悪くても乾いてしまえば無問題。地元の干し芋農家さんからは、干し芋作りのプロセスで発生する切れ端やはね出し商品も人気が高いと聞きます。

 増す寒さも甘みに変えられる自家製“半生”干し芋。乾燥した晴れが続く日を狙って、一年で最も寒いこの時期に作ってみてはいかがでしょうか。とはいえ、何だって手作りすることは一大事。干し芋作りを終えた後に残るのは、干し上がってサイズダウンした干し芋の尊さ、そして本家の干し芋農家さんに対するリスペクトの気持ちであることを先にお伝えしておきます。