からだ・美容
加齢とともに増加する「舌苔」 高齢者は誤嚥性肺炎の原因になることも 医師が解説
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口を開けて舌の表面を見ると、白くなっていて驚いたという経験はありませんか? それは舌に付いた「舌苔(ぜったい)」が溜まりすぎていることが原因かもしれません。舌苔は、加齢とともに唾液量が減ることで溜まりやすくなるそう。抵抗力が落ちた高齢者の場合は、口腔トラブルだけでなく誤嚥性肺炎といった重大な病気を招くリスクもあります。そこで、舌苔の正しい知識とケア方法について、こどもと女性の歯科クリニック院長の岡井有子医師に解説していただきました。
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舌苔ができやすくなる原因とは 口呼吸やストレスでリスクが倍増
健康な舌は、薄紅色や薄いピンク色をしており、潤っています。その表面をよく見るとざらざらとしていて、「舌乳頭」と呼ばれる無数の突起が見られます。舌苔は、この突起の間に溜まった口内の粘膜がはがれたものや食べカス、唾液の成分、細菌などで、食べたものの色によって見え方は変わりますが、概ね白色や黄色に見えるでしょう。舌苔は、健康な人にも見られます。
ただし、いくつかの原因により口腔環境が変わることで増えると考えられています。それぞれの原因について解説していきましょう。
○低位舌(ていいぜつ)
低位舌とは、舌が通常よりも低い位置にある状態のことをいいます。安静時に舌が下に落ちていると、舌に汚れが付着したままになって舌苔ができることに。
○鼻疾患による口呼吸
鼻疾患で口呼吸になりがちな人も舌苔ができやすいといえるでしょう。口を開けたまま呼吸すると、舌に十分な唾液が循環しません。そのため細菌が洗い流されず、乾燥することで細菌が溜まり、舌苔ができてしまうのです。
○ストレス
ストレスによって交感神経が優位になると、副交感神経の働きが弱くなって、唾液が出にくくなり、ねばねばした唾液に。唾液の分泌が減少すると舌苔が増加しやすいため、注意が必要です。
○口腔ケアの不足
食後や寝る前の歯磨きを怠ると、舌の突起や溝に溜まった細菌を洗い流すことができません。その結果、舌苔が付きやすくなることに。
○喫煙
タバコの煙にはいくつもの化学物質が含まれており、口腔内の健康に悪影響を及ぼす場合も。唾液の分泌力が減るため、舌苔も発生しやすくなります。
また、高齢者は唾液の分泌量が減ったり、舌の運動機能が低下したりするため、若年層よりも舌苔が付きやすい傾向にあります。とはいえ、赤ちゃんでもミルクカスによって舌苔が付くことはあります。