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マウスピース矯正には向き不向きがある! 矯正歯科単科開業医が語るホント 抜歯が必要な例とは?

著者:Hint-Pot編集部

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歯の矯正にまつわるアンケートの結果が明らかに(写真はイメージ)【写真:写真AC】
歯の矯正にまつわるアンケートの結果が明らかに(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 11月中旬、矯正歯科専門開業医の全国組織「公益社団法人日本臨床矯正歯科医会」がアンケート結果を公表しました。結果、医院とのトラブルや悩みを聞いたり経験したりした人は1030人中で3割弱に。また、アンケートに添えられたコメントなどからはプロからの“熱い訴え”も感じられ、状況には深刻な部分もある気配が……? そこで、実際のところを深掘り取材してみました。

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マウスピース型矯正装置の治療は抜歯が必要な症例に不向き

 今回の取材に応じていただいたのは、日本臨床矯正歯科医会の副会長を務める高橋滋樹先生。母子2代の矯正歯科単科開業医として、豊富な症例をご存じです。では、早速ですが高橋先生、「一般市民が矯正歯科治療に関して正しい知識を有しているかを調査するため」とのアンケートを実施した理由には、何か深いものがあると考えて良いですか?

「その通りです。今は歯の矯正治療にも多くの装置が出てきています。患者さんはやはり見えない装置に興味が大きいわけです。症例によってどのような装置が有効かを医師が検査をして治療方針を定めますが、患者さん側も矯正治療の専門性ということを知っていただくことで、トラブルが回避できる可能性があります。このため、このアンケートには告知的な意味も込めました」

 高橋先生によると、多くの先生はコロナ禍でも歯の矯正を希望する人は減っていないとおっしゃっているそう。マスク着用が日常となり矯正器具が見えないことが、その理由として考えられます。

「SNSを中心に広告をよく見かける治療法として、マウスピースがありますよね。正確には『マウスピース型矯正治療』や『マウスピース型矯正装置による治療』と呼ばれています。2019年の秋以降、似たような製品が出回るようになったのですが、実は日本臨床矯正歯科医会や日本矯正歯科学会は、マウスピース型矯正装置による治療に関する声明を発表しているんです」

 日本矯正歯科学会が2019年6月5日に発行したポジションステートメントによると、「歯科医師が介在しない形でマウスピース型製品が販売され、歯列の改善への有効性を謳うケース」が出てきており、「患者自身の独自の判断でこれらの製品を使用し歯の移動を行うことは、歯科医学的にも非常に危険である」とのこと。また、日本矯正歯科学会は「予想外の治療経過をたどることや、目標とした治療結果が得られないことがあります」としています。

「もちろん、マウスピース型矯正装置による治療がすべて悪いわけではありません。矯正をしっかりと勉強した矯正歯科医がきちっと診察して使用する場合もあります。ただ、『安い・早い・簡単』といったメリットだけを見て、医師が介在しない形で購入することは思わぬデメリットが生じやすいのです」

 その前に、マウスピース矯正の大まかな原理を。製品によりますが、基本的には2週間ごとに“少しずつ動かした歯形の”マウスピースに交換して、歯を動かしていくものだそう。

「軽微な症例であれば、マウスピース型矯正装置でも通常の矯正も同じように治った症例はありますが、そうではないものもたくさんあると思います。日本矯正歯科学会によると、抜歯が必要になる症例はマウスピース型矯正装置には向いていないとされていますね」