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からだ・美容

加齢とともに増加する「舌苔」 高齢者は誤嚥性肺炎の原因になることも 医師が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

舌苔の予防法とは 高齢者のケアには注意

 舌苔を溜め込まないためには、日々のケアと心がけが大切です。今日からできる予防法について、ご紹介します。

○舌磨きをする
 舌についた汚れを「舌磨き」で除去するのが効果的です。歯磨きの後、舌をできるだけ前に出し、専用の舌ブラシなどで奥から手前へ軽く動かして掃除しましょう。

【舌ブラシを使う場合】
1. 舌を軽く前に突き出す
2. 舌ブラシに水をつけ、奥から手前へ優しく引く。強く磨くと舌を傷付けてしまうので注意。また、ブラシをのどの奥に向かって動かすと汚れをのどに押し込むことになるため、必ず手前に引く
3. 軽く水で洗い流す。数回繰り返すと良い

【ガーゼ・赤ちゃん用の歯磨きシートを使う場合】
1. ガーゼを水に濡らし(歯磨きシートはそのまま使用)、軽く絞って人差し指に巻く
2. 奥から手前へ動かして優しく拭き取る
3. ガーゼに色が付いたらきれいな部分にずらす。色が付かなくなるのが目安
4. うがいをする

 高齢の方をケアするときは、舌に痰などがまとわりついて乾燥していることがあります。その際は、保湿成分を含んだ口腔ケア用品で十分に保湿し、痰などを浮き上がらせてからケアを行うと良いでしょう。この場合も、汚れがのどに押し込まれないよう、奥から手前へ拭き取るようにしてください。

 強い力で磨いてしまうと、舌の表面を傷付けて口腔内トラブルのリスクを高めてしまうので注意しましょう。免疫力が低下しているときは、白板症(前癌病変)やカンジダ症などを発症している可能性もあります。ケア中にヒリヒリしたり、ケアしても汚れが取れなかったりする場合には病院を受診しましょう。

口腔内の唾液の分泌量を減らさない習慣を

○唾液を増やすマッサージをする
 唾液の分泌を促す「唾液腺マッサージ」を行うのもおすすめです。「耳下腺(じかせん)」「顎下腺(がっかせん)」「舌下腺(ぜっかせん)」と呼ばれる、唾液が出やすいポイントを優しくマッサージすると、唾液の分泌が促されて口腔内に潤いをもたらしてくれます。

○よく噛んで食事を取る
 よく噛むと、唾液がたくさん分泌されます。唾液には食べ物のカスや細菌を洗い流す作用もあるため、舌苔だけでなく虫歯や歯肉炎の予防にもつながります。

○食事中に飲み物を飲まない
 食事中に飲み物を飲むと、唾液を出さなくても飲み込めるようになるため唾液が分泌されなくなってしまいます。

○口呼吸をしないように気をつける
 口呼吸をすると口の中が乾燥し、唾液が不足して細菌が繁殖。口の中に汚れが溜まることになります。舌苔はもちろん、口臭や歯の色素沈着などの原因にもなるため注意しましょう。口呼吸は舌をスポットにつけるように意識し、口を閉じる練習をしましょう。マスク生活で口呼吸をする方が増加しています。

 前述した通り、ストレスは唾液の分泌量を低下させる原因になります。日頃からリラックスをして、ストレスフリーな生活を送ることも大切です。

◇岡井有子(おかい・ゆうこ)
歯科医師。こどもと女性の歯科クリニック院長。大阪歯科大学大学院歯学研究科非常勤講師。看護師として京都市内の産婦人科勤務を経たのち、大阪歯科大学に入学。同大学大学院歯学研究科で小児歯科学を専攻。一般歯科医院勤務を経て、2017年7月にこどもと女性の歯科クリニックを開業。「顎顔面口腔育成療法」により子どもたちの健康な発育をサポートし、ママへの抱っこや離乳食の講座などを開催。子どもから大人まで、より健康になるためのアプローチを行っている。

(Hint-Pot編集部)