仕事・人生
ダウン症モデル菜桜さんを支える母 夢を追いかける3きょうだいを育て上げるまで
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看護師の姉と看護学生の兄 2人の夢にも菜桜さんが影響
10歳年の離れたお姉さんは現在、育児休業中ですが、看護師として菜桜さんがお世話になってきた病院に勤務してきました。そして菜桜さんの2歳年上のお兄さんも、看護師を目指して日々励んでいます。
2人が看護師を目指したのは、自然な流れでした。菜桜さんは生まれながらにダウン症のほか、先天性食道閉鎖症A型、動脈管開存症、食道アカラシア症など10もの合併症があり、これまで17回の手術を乗り越えてきました。お姉さんは、手術後に小児集中治療室(PICU)に入院する菜桜さんの姿や、小さな命を守るために一生懸命働く医療従事者の姿を間近に見て、いつしか看護師に憧れるようになったのです。
「お姉ちゃんは子どもの頃から本当に優しい子。おじいちゃんやおばあちゃんが近くにおらず、頼れる人が周りにいなかったので、菜桜が手術をするときも家族だけでどうにかするしかなかったんです。私が菜桜の胃ろう介助のために寝不足で、朝寝坊してしまったとき、きちんと自分で朝食を食べて、置き手紙をして学校へ行っていたことがありました。そのときは泣きましたね。その後、お姉ちゃんが看護師を目指すと言ったときは本当にうれしかったです」
そんな姉の背中を追うように、看護師を目指し始めたというお兄さん。しかし、進路選択の際には、由美さんのほうが不安になったこともあったといいます。
「お兄ちゃんは寡黙なタイプですし、小さい頃に『看護師を目指してみれば』と言ったこともあったので、無理に看護師を目指しているのではないかと心配になったことがあったんです。それで『あなたはあなたの道に進んでいいのよ』と言ったらすごく怒って、『ママが勝手に決めないで』って喧嘩みたいになっちゃって。結局、自分の意志を貫き通して看護の道に進みました」
由美さんは、子どもたちに強く伝えてきたことが2つあるといいます。それは「何かをしてもらったら『ありがとう』と必ず言おう」「人には優しくしよう」ということ。その教え通り、3人とも優しくて芯の通った人に成長しました。
障害児を抱えながら3人の子を育てるのは、大変なことばかりだったでしょう。それでも由美さんは、記憶に残っているのは「楽しいことや笑っていることばかり」だと振り返っています。