からだ・美容
ほくろと皮膚がんの見分け方は 紫外線が増える季節に注意すべきこと 医師が解説
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教えてくれた人:佐藤 卓士
ほくろを増やさないために紫外線や摩擦から肌を守って
これ以上ほくろを増やしたくないという人も多いでしょう。冒頭で、ほくろの原因は明確にわかっていないとお話ししました。現在考えられているのは紫外線や摩擦、ホルモンバランス、ストレスです。あえて予防法をお伝えするとすれば、これらの原因を取り除くことになります。
紫外線は色素細胞を刺激するので、一年を通して日焼け止めを塗ることが予防につながります。暑くなるこれからの季節は汗で流れてしまうので、こまめに塗り直すように心がけましょう。
摩擦も、メラニンが過剰に生成される要因のひとつです。洗顔やメイクなどのときに、肌を強くこすらないようにしてください。また、ほくろを気にして触るのも避けましょう。基本的なスキンケア、規則正しい生活習慣がほくろの予防にもつながるということです。
ちなみに、親子で同じような位置にほくろがあることもありますが、ほくろが遺伝することはないといわれていますので、たまたま同じ位置にできたものでしょう。ただ、親にほくろが多いと子も多いという傾向にあり、おそらく、ほくろができやすい肌質が遺伝していると考えられます。
目立つほくろが気になるなら除去することも可能
メラノーマや基底細胞がんなどの悪性腫瘍の場合は、手術で切除するのが一般的な治療法です。しっかりと取り除くことができれば根治する可能性が高いので、早期発見、早期治療が大切です。
一方、ほくろは良性の腫瘍なので治療する必要がありません。しかし、目立つ位置にあって気になる、口元の大きなほくろが邪魔など、見た目や日々の生活に支障がある場合、取りたいと考える人もいます。
除去後の傷跡を目立たなくしたいと、見た目の美しさを重視して除去するなら形成外科、美容外科が適しているでしょう。ほくろができている部位、大きさによって施術方法が異なりますので、カウンセリングで相談をしてください。
お子さんのほくろが気になって来院される人もいます。大きなほくろがあって友達にからかわれた、顔にほくろが多いせいで自分に自信が持てず、いつもうつむきがち……など、大人より子どものほうが容姿に関しては繊細です。お子さんのほくろ除去を考えている場合、親だけが積極的になるのではなく、お子さんの気持ちもしっかりと聞いてあげてください。
ほくろは、きちんと取り除くことができれば再発する心配はほとんどありません。ただし、ほくろの状態によっては一度で取り切れないものもありますので、事前に施術方法や術後のこと、ほくろ除去の施術で起こるリスクを確認しておきましょう。
皮膚がんであるメラノーマに限らず、ほくろと似た皮膚疾患はいくつもあります。少しでもおかしいなと異変を感じたら、早めに専門医へ相談をしてください。
(岩淵 美樹)
佐藤 卓士(さとう・たかし)
1970年4月7日生まれ。九州大学医学部卒。岡山大学医学部、杏林大学医学部、都立大塚病院形成外科にて研鑽を積む。医学博士、日本形成外科学会認定専門医、日本レーザー医学会認定レーザー専門医。日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本美容外科学会、日本レーザー医学会、日本手外科学会、日本創傷外科学会に所属。2018年よりアヴェニュー表参道クリニック院長として、形成外科・皮膚科で学んだ知識と経験を基にわかりやすい説明を心がけ、日々診療を行う。