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領収書とレシートの保存は鉄則 今からでも遅くない 医療費にまつわる2つの税を知る

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

医療費控除との違いは何? どちらで申請したほうがお得になるの?

 セルフメディケーション税制がどういった制度かわかってきたところで、次に気になるのは、以前からある医療費控除との違いです。栗山さんは、「一番の違いは、セルフメディケーション税制は少額の支出でも所得控除を受けることができるという点です」といいます。

「セルフメディケーション税制が導入される前は、医療費控除は10万円を超える支出がないと所得控除を受けることができませんでした。しかしセルフメディケーション税制では、一定の取り組みをしていれば、1年で購入した対象医薬品の合計額が1万2000円を超えた部分の所得控除(上限8万8000円)を受けることができるようになりました」

 生計をともにする家族分をまとめて申請することができると考えると、医療費控除を受けられる10万円に満たなくても所得控除が受けられるのはうれしいですね。

 ただし、両方の所得控除は受けられません。「セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、セルフメディケーション税制と医療費控除のいずれかを選択して適用することになります」と栗山さん。

 どちらを選択したほうがいいのでしょうか。その見極めについて栗山さんは、「下記の計算式で求められる所得控除額の金額が、どちらが多いかによります」といいます。

○医療費控除の場合【上限200万円】
 所得税の所得控除額=支払った医療費-10万円※
 住民税の所得控除額=支払った医療費-10万円
※総所得額が200万円未満の場合、総所得額の5%を差し引きます

○セルフメディケーション税制の場合【上限8万8000円】
 所得税の所得控除額=(支払った医療費-1.2万円)
 住民税の所得控除額=(支払った医療費-1.2万円)

 この計算式から、減税額が同額になる分岐点は18万8000円であることがわかります。そこで、支払った医療費がこの額より多ければ医療費控除を、少なければセルフメディケーション税制を選択したほうがより多くの所得控除を受けられるというわけです。

「ここで一点留意していただきたいのが、『支払った医療費』の対象となるものがそれぞれの制度で異なる点です」と栗山さん。「セルフメディケーション税制では対象医薬品の購入費用のみですが、医療費控除では治療費、(医師から処方される)医薬品の購入費用に加えて、通院にかかる交通費や妊娠時の定期健診、検査費用なども含まれます」とのこと。

 具体的に知りたい場合は、日本一般用医薬品連合会のウェブサイトでどちらの制度を使ったほうがお得になるかを試算できますし、申告の際に確定申告書の作成コーナーでもそれぞれの控除額を試算することが可能とのこと。参考にするといいでしょう。