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領収書とレシートの保存は鉄則 今からでも遅くない 医療費にまつわる2つの税を知る

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

さかのぼって申告できるのは過去5年分 今からでも準備できること

 医療費控除は過去5年にさかのぼって申告することが可能です。同様に、セルフメディケーション税制も該当するといいます。栗山さんによると、注意点は次の通りです。

「セルフメディケーション税制の適用を受けることを選択して確定申告書を提出してしまった場合は、その後、更正の請求や修正申告書により、納税者がセルフメディケーション税制から通常の医療費控除へ適用を変更することはできません。同様に、通常の医療費控除を受けることを選択した場合も変更できません」

 要は、その年の確定申告をする際に、どちらかの制度で申告してしまうと変更はできないということです。2022(令和4)年度の確定申告は終わったばかり。新年度がスタートし、2023年の申請分の対象期間はすでに4か月を過ぎましたが、今からやっておくべきことはあるのでしょうか。

「どちらの制度を適用することになってもいいよう、領収書やレシートをきちんと保管しておくことが大切です。また、医療機関へ行く際に利用した公共交通機関の交通費については、セルフメディケーション税制では認められませんが、医療費控除では支払った医療費に含まれます。こちらも合わせて保管・記録しておきましょう」

 さらに、確定申告の内容について税務署から説明や提示を求められる場合もあるので、領収書やレシートなどの証憑類は確定申告期限等から5年間はきちんと保管しておいたほうがいいそうです。また、セルフメディケーション税制を適用するには“一定の取り組み”が必要になりますので、きちんと健康診断などを受けておくことが大切です。

 当然ですが、副業をしている人は注意が必要です。そもそも、セルフメディケーション税制の適用を受けて所得控除を受けようとする場合には確定申告が必要になります。「その場合は、たとえ20万円以下であっても確定申告書に副業の所得を記載する必要がありますので、『副業の所得>セルフメディケーション税制の所得控除額』となる場合には納税額が大きくなってしまいます」と指摘します。

 まだまだよくわかっていない人も多いセルフメディケーション税制。医療費控除と比較して、どちらで申告したほうが自分にとってお得になるのか、一度しっかりと税制について理解しておきたいですね。

◇栗山信二(くりやま・しんじ)
私立暁星高校、中央大学商学部会計学科を卒業後、PwCグループ(中央青山監査法人、プライスウォーターハウスクーパース株式会社)にて監査やIPO支援、M&A支援、事業再生に従事。現在、栗山公認会計士事務所・税理士事務所代表を務める傍ら、株式会社el mago代表取締役、公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)の元監事。

(Hint-Pot編集部)