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地方が抱える問題に「協力隊」が挑む 「空き家はあるのに住む家がない」 元記者の奮闘

公開日:  /  更新日:

著者:芳賀 宏

初心者や女性の参加者から大好評 「家はこうして生まれ変われる」を体現した企画に

DIYの途中では差し入れのお菓子などを食べながら和気あいあい【写真提供:芳賀宏】
DIYの途中では差し入れのお菓子などを食べながら和気あいあい【写真提供:芳賀宏】

 最初は見ず知らずだった参加者たちが、不慣れな道具を手に作業し、協力しながら形にしていく。和気あいあいとした雰囲気で会話し、意見を交わすことで距離がぐっと近づきます。別れ際には連絡先を交換するなど交流の場にもなったことは、ワークショップのうれしい“副産物”です。また、移住者を歓迎する町の方々からお菓子の差し入れをいただいたり、名産のリンゴをみんなでつまんだり、町や人を知ってもらうこともできた素敵なイベントだったと思います。

 もちろん、キッチンやトイレの交換など、どうしても業者に頼まなければいけないパートもありますが、初心者でもDIYできることはたくさんあります。参加者のなかには「気になっていた工具を使ってみたり、断熱材を自分でも敷き込んだりする作業は参考になりました」と、実際に古民家のリノベーションに挑み始めた方も。また、思っていた以上に女性の方々がDIYに強い関心を持っていることもわかりました。改修された家の入居者募集は6月を予定していますが、住む方以外にも「家はこうして生まれ変われる」ということを多くの方に知ってもらいたいと考えています。

自治体だけでの解決は困難な空き家問題 町内外の人々によるアイデアや企画で活性化を

 ここ数年で、空き家に関する法律が次々に改正されています。都会や人口の多い地域では、倒壊の危険性や火災が起きた際の延焼の心配、治安の悪化、景観などが問題の中心です。一方、人口減少が続く地方では倒壊の危険性などのほか、移住希望者がいるのに供給につながらないという側面もあり、どちらも問題解決は急務と言えるでしょう。

 固定資産税の軽減措置をなくすことや特定空き家の認定など、制度上は自治体レベルで進められこともあるとはいえ、実際の適用が難しいことは過疎地域に住んでみるとよくわかります。

 今回の参加型空き家改修ワークショップのように、最初の動き出しが大変でも、動き始めれば物事にはやがて遠心力が働き、大きな力を生みます。

 専門家としてワークショップを開催した若き建築家の2人は、日頃から改修以外でも忙しく活躍しています。任期を1年延長した永田さんは横浜市で建築事務所を運営しながら、立科町の一角に「町かどオフィス」を開設。住民の改築や空き家の相談に乗るほか、自ら借りた空き家をリノベーションしてカフェを開店予定です。

 また、昨年8月に着任した秋山さんは、静岡県沼津市で同じ建築家でもある配偶者さんと建築事務所を開設する一方で、まずは空き家を供出してもらう入り口として「空き家、倉庫の片づけをお手伝いします」という活動を始めたところです。

 行政が民間と提携して空き家対策に乗り出した例など、さまざまなニュースを目にするようになりましたが、やはり自治体だけで解決するには限界があります。立科町「地域おこし協力隊」は、移住促進のきっかけを生み出せるよう、町内外の人々を巻き込みながら奮闘中です。

(芳賀 宏)