食
「ワカメは髪に良い」は本当? 栄養や1日の摂取量を栄養士が解説
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:和漢 歩実
ミネラル豊富でヘルシーなイメージがあるワカメ。古くから日本で食べられてきた海藻のひとつです。具体的にどのような栄養があって、どのくらいが適量なのでしょうか。また、髪の毛に良いといわれますが、その理由は? 元家庭科教諭で栄養士の和漢歩実さんに伺いました。
◇ ◇ ◇
古くから日本で食べられてきた海藻
海藻を食べる国は世界的に珍しいとされていますが、日本では古くからワカメを食べてきました。縄文時代の遺跡からは海藻が発見されており、食用にしていたとみられています。奈良時代の歌集にもワカメを詠んだ歌があり、古くから日本の食文化に関わってきました。
江戸時代になると、庶民にも海藻を食べる文化が広がり、日常的に食卓に並んだようです。とくにワカメはおもてなし料理の素材として、主に汁物の具材に使われてきたとか。生は日持ちしないので、塩蔵や乾燥して保存したものが用いられてきました。
ワカメの栄養とは
ワカメは海の中の栄養を吸収して育つため、ミネラルやビタミン類がたっぷり含まれているのが特徴です。なかでも注目は、成長に欠かせないカルシウムやヨウ素が豊富なところ。生100グラムに対して、日本食品標準成分表2020年版(八訂)を基に、主な栄養成分を見ていきましょう。
○エネルギー
24キロカロリー
○ヨウ素(甲状腺ホルモンの原料)
1.6ミリグラム
○カルシウム(骨や歯の成分。神経の働きに関与)
100ミリグラム
○マグネシウム(骨や歯の成分。酵素の活性化)
110ミリグラム
○ビタミンK(血液の凝固、カルシウム吸収率の促進)
140マイクログラム
○食物繊維(便通を整えて便秘を防ぐ)
3.6グラム
代表的な成分は、ミネラルのヨウ素、ヌルヌル成分でもある水溶性食物繊維のアルギン酸とフコイダン、フィトケミカルのひとつでカロテノイド色素のフコキサンチンです。アルギン酸とフコイダンは腸内環境を整えるほか、血糖値やコレステロール値、血圧の上昇を抑える効果が注目されています。とくにフコキサンチンは強い抗酸化作用があり、生活習慣病や老化防止に期待されているカロテノイド色素です。