仕事・人生
宝塚卒業後に出会えた夢 歩みを止めない87期のふたりが追求する「お芝居」と「歌」
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インタビュアー:竹山 マユミ
念願叶って宝塚歌劇団に入団し、数々の華やかな舞台を経験したタカラジェンヌたちにとって、「卒業」はさまざまな感情が揺れ動きます。そんななかで、求めていくのは次の夢。OGたちの視点からクローズアップする「Spirit of タカラヅカ」、87期の同期コンビ・元雪組娘役の晴華(はるか)みどりさんと元月組男役の綾月(あやづき)せりさんのインタビュー最終回は、おふたりの今後について。宝塚をこよなく愛するフリーアナウンサーの竹山マユミさんが伺いました。
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卒業しても晴華さんに染み付いていた“娘役ポリシー”
竹山マユミさん(以下竹山):晴華さんは宝塚歌劇団を卒業後に“自分探し”を始められたということですが、どのような変化がありましたか。
晴華みどりさん(以下晴華):とにかく好きなことを好きなようにしてみました。現役時代はお稽古場にいると芸名の自分でいましたけど、もう芸名を考えなくていいんだ、普通の自分でいいんだっていうところから。好きなときに好きな舞台や映画を観に行けるし、お買い物にも行ける。そんな時間がとても増えて、だんだんと本当の自分を取り戻していきました。
しゃべり方や姿勢も現役のときに比べたらものすごくラフに変わりました。私は“娘役ポリシー”がとても強いタイプだったので、自分でも気づかないうちに自分のなかへいろいろなことを押し込めていました。それは無理やりそうしていたわけではなくて、自分で好んで、そうありたいと願ってやっていたことなんですけど、“全力娘役”をやる必要がなくなったときに、こんなに肩の力が抜けるんだという発見がありました。
竹山:やはりタカラジェンヌというプロ集団の、意識の高さというのがずっとあったのですね。
晴華:10年以上、培われてきたものなのでしょうね。
綾月せりさん(以下綾月):娘役さんは大変だと思います。宝塚って女性が男性を演じるじゃないですか。だから女性が演じる男性をいかに男らしく素敵に見せるかは、娘役さんの力がすごく大事だと思うし、それってすごく大変なことだと思うんです。
晴華:娘役として、そこは目指すところですよね。卒業後も、お仕事で男役さんの隣に並んだときは、自然と“娘役スイッチ”がオンになるんですよ。「絶対この方より一歩も前には出ないぞ!」って。娘役としては当然ですが、お相手より先に動かないとか、絶対に先に正面は向かないとか。自然に“娘役スイッチ”が入る、それが宝塚じゃないですか。
竹山:そういう伝統があるからこそ、私たちもずっと憧れを抱き、別世界を見に行くという気持ちで拝見しに行くんだなと改めて思います。
晴華:長く続いてほしいですね。宝塚って伝統芸能なので。