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仕事・人生

宝塚卒業後に出会えた夢 歩みを止めない87期のふたりが追求する「お芝居」と「歌」

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・瀬谷 宏

インタビュアー:竹山 マユミ

動き出した晴華さんの次の夢 「合唱団を立ち上げました」

歌に携わる夢を追い続ける晴華みどりさん【写真:舛元清香】
歌に携わる夢を追い続ける晴華みどりさん【写真:舛元清香】

竹山:晴華さんはどんな夢を描いていらっしゃいますか。

晴華:私はたぶん、夢がないと生きていけないタイプの人間だと思うんですよ。宝塚に入るときもそうでしたが、夢とか目標があるときって、自分の人生のエンジンがすごくかかっているんですよね。自分も頑張るし、笑顔でいられる。宝塚にいたときも、越えなきゃいけない壁に当たったり、大きな役をいただいたり、何かに向かって頑張っているときって、とにかく日々を一生懸命生きるじゃないですか。だから、宝塚を卒業するという区切りがあってからしばらくは、自分の夢ってなかったと思うんですよ。

竹山:その後、何か転換点はありましたか?

晴華:子育てなどで忙しかったというのもありますが、丸6年くらい本当に何もしていなくて、芸事や舞台からかけ離れたところで日々を過ごしていました。小さい頃の夢が専業主婦だったので、それは叶いましたね。活動を再開したきっかけは、子育てに必死になっている毎日のなか、たまたま道ですれ違った下級生から話がつながり、元雪組の上級生からコンサートにゲストで出演してほしいと声がかかって。そこから少しずつ歌のお仕事をいただくようになりました。

 それまでは娘役らしく歌わなきゃとか、この場面は絶対にこういうふうに歌わなきゃいけないというものがありました。でも今は、自分の好きな曲を好きなように歌っていいという依頼がほとんどなんです。それでいいんだと思ったら、本当に歌うことが楽しくなって、前よりももっと歌うことが大好きになれたんです。

竹山:歌が大好きであることを再認識させられたというのは、今後の活動に大きな影響を与えるきっかけになったのではないですか。

晴華:私は小学生のときに、地元の少女合唱団に入っていました。そこが私の歌の原点です。だから自分も将来、合唱団のようなものを作れたらいいなと、なんとなくずっと心の奥で思っていたんです。でも、宝塚を卒業しても自分で合唱団を立ち上げようという気力が生まれず。コロナ禍で歌うことに制限がかかったこともあって、いつの間にか夢は忘れていました。そんななかで、私がまた歌っていることが口コミで伝わり、あるところから声をかけていただいたんです。

竹山:どんなお話だったのですか。

晴華:コロナ禍で当たり前のようにマスクをしているから、子どもたちが声を出さない。声を出せないから歌うことを知らない、曲は知っているけど音が取れない。声を出さないから肺活量も少ないし、表情筋も動かない。相手に何かを伝える力もとても弱い……というお話を伺い、これはなんとかしなきゃ!! って思ったんです。その頃から、いつか合唱団のようなことをやれたらいいなと少しずつ口に出していました。すると、そういうことをしませんかというお話をいただいたんです。

 言霊というか、引き寄せの力っていうものが働いたのかなと。タイミングがちょっとでも違っていたら、実現していなかったかもしれません。そんなこともあり、今はまだ夢の途中ですが、僭越ながら晴華みどりがお教えする合唱団を立ち上げました。子どもたちのために頑張ることができたらいいな、お力になれればうれしいなと。そう考えたら、私はやはり夢がないと生きていけないし、人生を輝かせるためにも夢を持ち続けていたいと思います。

綾月:すごいことだよね。そういうのって、思っていてもなかなか実現しないのに。夢を持つことって楽しいんだと気づいたのは幸せだと思うよ。

竹山:舞台で輝いていた方々の多くは、人の心を動かしたり、自分がやりたいと思っていた場所に立てていたり、エネルギーの高い方なのだと思います。ぜひこれからも私たちを感動させてください。

晴華&綾月:はい、頑張ります。

<終わり>

◇晴華みどり(はるか・みどり)
栃木県出身。6月7日生まれ。愛称は「かおり」。2001年に87期として宝塚歌劇団に入団。宙組公演「ベルサイユのばら2001-フェルゼンとマリー・アントワネット編-」で初舞台。その後、雪組に配属され「ポップスコッチ」でヒロインのひとりに抜擢。「送られなかった手紙」でバウホール単独初ヒロイン。「さすらいの果てに」でバウホール公演3度目のヒロインを演じ、「霧のミラノ」「ベルサイユのばら-オスカル編-」で2度の新人公演ヒロインを演じた。ショーのパレード冒頭のソロを歌う“エトワール”を何度も務めた歌姫。2011年、「仮面の男」大女優役で退団。退団後は休業期間を経て、ディナーショーやコンサートなどに出演し、歌手として活動している。2023年、「輝け!しながわジェンヌ2023」で綾月と共演。

◇綾月せり(あやづき・せり)
千葉県出身。10月19日生まれ。愛称は「まゆみ」「ファービー」。2001年に87期として宝塚歌劇団に入団。宙組公演「ベルサイユのばら2001-フェルゼンとマリー・アントワネット編-」で初舞台。その後、月組に配属され男役として活躍。「エリザベート -愛と死の輪舞-」「ME AND MY GIRL」「風と共に去りぬ」などの作品に出演し、2016年に月組副組長就任。2018年に「カンパニー -努力(レッスン)、情熱(パッション)、そして仲間たち(カンパニー)-」の有明清治郎役、「BADDY-悪党(ヤツ)は月からやって来る-」で退団。退団後は、2018年「現代能『陰陽師 安倍晴明』~晴明 隠された謎…~」(野村萬斎主演)、2021年「火の鳥 異形編」、2022年「レ・ミゼラブル~惨めなる人々~」、2023年「輝け!しながわジェンヌ2023」「スター誕生2」など舞台を中心に活動している。

◇出演情報
CHICACO 2023
【日時】大阪公演(specialチーム):5月13日(土)~14日(日)
【会場】一心寺シアター倶楽
【出演】specialチーム:池上季実子、円堂耕成、綾月せり、中村優希、三上竜平、田中愛実、大谷葉月、山中友太、富山真有、大鶴義丹 ほか
【問い合わせ】舞台「CHICACO 2023」公式サイト

(Hint-Pot編集部・瀬谷 宏)

(インタビュアー:竹山 マユミ)

竹山 マユミ(たけやま・まゆみ)

明治大学卒業。広島テレビ放送のアナウンサーを経てフリーアナ、DJとして各テレビ局やラジオ局で番組を担当。コーピングインスティテュート コーピング認定コーチ。宝塚歌劇団は生まれる前から観劇するほどの大ファン。