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収入が低くても貯蓄できる? 税理士が教える最初のステップ 世代別や年収別の貯蓄額を確認
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物価が高騰し続けているのに賃金は上がらない。収入が低くて未来のことを考える余裕はなく、不安ばかりが溜まっている。そうした状況の人は少なくないかもしれません。そこで、豊富な実務経験のある税理士でマネージャーナリストの板倉京さんが、手取り10万円台でも豊かに暮らし、将来に備えた貯蓄をしていくアイデアをレクチャー。年収が低いからと、貯蓄ができない言い訳にしていませんか? 連載第1回では「世代別・年収別の貯金額」をまず知り、貯蓄のイメージを膨らませましょう。
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童話「アリとキリギリス」のキリギリスにならないためにも
「老後のためにお金を貯めよう!」などと言われても、「『老後』なんてすごく遠い先のこと」と感じている人も多いでしょう。「老後不安はあるけれど、給料は少ないし、今の生活も大切。細々した節約とか苦手で無理!」と諦めてしまっている人も多いのではないでしょうか? でも、無理と言っていて何もしなければお金は貯まりませんし、お金のない老後は悲惨です。
「アリとキリギリス」のお話はご存じですか? 暑い夏の日、バイオリンを弾いて楽しむキリギリスと、その横で冬に備えて食べ物を運ぶアリ。「楽しい夏に、何をそんなにあくせくしてるの」と笑っていたキリギリスは、冬になると食べ物がなくなって困り果て、しっかり備えていたアリは安心して過ごせるというお話です。冬になったら食べ物がなくなるのがわかっているのになんの準備もしないなんて、キリギリスはなんて無謀なんだ!! と思いませんか?
お話では、キリギリスは心優しいアリに食べ物を分けてもらえますが、私たちは助けてくれるアリに期待できません。自分の身は自分で守る! 老後のことばかり考える必要はありませんが、老後のために今からできることを始めてほしいと思うのです。
そこで、この連載では「手取り10万円台でも老後の資金が貯められるお金習慣」について、今からできることなどをご紹介できればと思っています。
みんなはどのくらい貯蓄しているの?
まず第1回は「結局、みんなどのくらい貯金しているのか」を年代別・収入別で紹介します。同世代や同じくらいの収入の人の現状を知ることからスタートです。
データは「令和4年(2022年)家計の金融行動に関する世論調査(金融広報中央委員会)」を参考に、金融資産を保有している世帯に絞って、平均値と中央値をみていきます。
ちなみに中央値とは、データを数字の小さい順に並べたときに真ん中(中央)にくる値のことです。平均値は、貯金がものすごく多い人がいると数字が大きくなりがちなので、中央値も参考にしてみください。
年代が上になると貯蓄額も上がっていますね。30代以降は平均値と中央値の差も広がってきます。これは、一生懸命貯めている人とそうでない人の差が開いているということ。
みなさん、ご自分の貯蓄額と比べていかがでしょうか。せめて中央値くらいは貯めておきたいところ。そして、できれば平均値を目指して、今から頑張っていきましょう!
2人以上世帯は、子育てなどでお金がかかることもあり、平均値が単身世帯と大きく変わらないように見えますが、中央値を比べると2人以上世帯のほうが数字は大きいですよね。結婚して家族が増えると、子どもの教育費やマイホーム購入などお金の問題と向き合う場面も増え、将来に向けて貯蓄をしようと考える人が多いということでしょう。