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「けがを理由に諦めないで」 過酷日程に苦しんだ宝塚元娘役が退団後に見つけた新天地

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・瀬谷 宏

インタビュアー:竹山 マユミ

「頑張りたいときのために頑張れる体がない…それだけは絶対にないようにしたい」

インタビュアーの竹山マユミさん(左)と笑顔を見せる小田島夏希さん【写真:舛元清香】
インタビュアーの竹山マユミさん(左)と笑顔を見せる小田島夏希さん【写真:舛元清香】

竹山:夏希さんはもしけががなければ、長く宝塚を続けていらっしゃいましたか。

夏希:私の場合は宝塚以外の舞台で演じてみたいという気持ちもありましたし、退団してから出させていただいたいろいろな舞台での経験も本当に楽しかったです。そのとき、その場所でしか得られないものがたくさんあったと思うので、腰が痛くなければそのままずっと劇団にいたかと言われると、そうではなかったかもしれませんね。

竹山:今でも宝塚はご覧になるようですね。

夏希:宝塚観劇は大好きです。やっぱり受験生時代にレッスンした“教え子”が入られたりすると、観にいくのはやめられないです。まだ大きい役ではなかったりすると、端っこばかり見ている感じになったりもしますけど。

竹山:教え子というのは今の何年目ぐらいの方なのですか。

夏希:5~6年目くらいの方々までは今もいらっしゃるかなと……。

竹山:その頃に入団された方は、コロナ禍でみなさんがいろいろなことを模索して、どうしたらいいかわからないという時期を経験されてきましたね。

夏希:あの期間、まったく体を動かせなくなっていた状態から突然、初舞台公演をやるとなったときに、いきなりヒールを履いたり足を上げたりしたら、どんなに若くても体を壊してしまうことも出てくると思うんです。そうならないために、家の中でもできることをぜひやっておいてほしいという気持ちでした。初舞台はなんとか無事にできたとしても、その後体にガタが来ないようにしておいてほしいなと思っていました。

 当時入団した期はとにかく大変だったと思います。そのあとの子たちも、学校が始まっても始業式や入学式ができなかったり、クラスの始まる時期が遅くなったりしている子たちもいたと思います。その期間に入学した子たちのなかには、受験時代にレッスンで見ていた子たちもいました。でも、人ができない経験をできた分、学校の授業の時間を大切にできただろうし、授業に集中できて公演にも良い影響があっただろうと思うと、悪いことばかりではなかったと信じたいですね。

竹山:世の中全体の動きが止まってしまいましたし、公演があってもストップしてしまうという時期でした。

夏希:宝塚は公演の中止が多かったし、世間からも注目されてしまっていたことを思うと、生徒さんたちの精神状態は本当に大変だっただろうなと思います。私たちは経験したことがない状況だったので、よく頑張っていたなと。

竹山:その期間も、宝塚を目指している人たちに対してのご指導はされていたのですか。

夏希:緊急事態宣言中や、外出が禁止されるような期間にはもちろん対面でのレッスンはできませんでしたが、オンラインでのレッスンなどをしていました。

竹山:そんな状況からいきなり体を動かそうとすると、けがをしてしまいがちですよね。そういうところではご自身の経験が生きていらっしゃる感じでしょうか。

夏希:頑張りたいって思ったときに頑張れる体を作っておかないと、たとえば大きな役をいただいたとしても全力で臨めなくなってしまいますよね。そんなことだけは絶対ないようにしてほしいんです。そのためには、やっぱり体が元気じゃないといけません。これだけは声を大にして伝えていきたいと思っています。

<次回に続く>

◇小田島夏希(おだしま・なつき)
神奈川県横浜市出身。8月11日生まれ。愛称は「なつき」。1998年に84期として宝塚歌劇団に入団。在団時は「汐夏ゆりさ」の芸名で娘役として活動した。宙組発足公演「エクスカリバー/シトラスの風」で初舞台。その後、雪組に配属された。2003年に卒業後はJoey McKneely演出・振付「WEST SIDE STORY」、G2演出「魔界転生」お通役、三池崇史演出「座頭市」お国役、竹邑類演出「セメタリー倶楽部」天使役など、舞台を中心に活動しながらダンスインストラクターとしても活動。自身のけがをきっかけに、ピラティス、ジャイロキネシス(R)、ジャイロトニック(R)の指導者資格を取得。都内を中心にピラティス専門スタジオやチャコットなどダンススタジオにてトレーナー、ジャズダンスインストラクターとして子どもから大人まで幅広い年代の方々へクラスを提供しながら、宝塚音楽学校受験生、現役生徒の指導やボディメンテナンス、卒業生のダンスライブ、イベントなどの振付も手がける。

◇レッスン情報
ジャイロトニック(R)とマシンピラティスをメインとするボディワークスタジオ「Espoir movement space」(東急目黒線不動前駅より徒歩4分)をオープン。日々みなさまの“やりたいこと”を楽しんでいただけるよう、レッスンを提供している。


Espoir movement space
月~日曜日(不定休)午前10時~午後6時
ジャイロトニック(R)&マシンピラティスプライベートレッスン


チャコット たまプラーザスタジオ
マットピラティスクラス:水曜日 午後0時15分~午後1時15分
ジャズダンスクラス:土曜日 午後5時45分~午後7時

(Hint-Pot編集部・瀬谷 宏)

(インタビュアー:竹山 マユミ)

竹山 マユミ(たけやま・まゆみ)

明治大学卒業。広島テレビ放送のアナウンサーを経てフリーアナ、DJとして各テレビ局やラジオ局で番組を担当。コーピングインスティテュート コーピング認定コーチ。宝塚歌劇団は生まれる前から観劇するほどの大ファン。