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仕事・人生

宝塚時代には「得られなかった感動」 元娘役が新天地で再確認した“けがの功名”の意味

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・瀬谷 宏

インタビュアー:竹山 マユミ

「人生をダンスに助けてもらっている」

体のケアの重要さを語ってくれた小田島夏希さん【写真:舛元清香】
体のケアの重要さを語ってくれた小田島夏希さん【写真:舛元清香】

竹山:その世界をつくるうえで、夏希さんは健康に舞台を務めてほしいという目で宝塚を見ていらっしゃることがうかがえます。

夏希:私自身、けがに苦しんだ経験があることももちろんありますし、実際に舞台制作の現場は体に良いことばかりではないと思います。パフォーマーに限らず、健康を意識したことがないスタッフの方もたくさんいらっしゃると思うので、宝塚はもちろん、舞台に関わる方々にご自身のお体を大切にしていただくことができるような環境になってほしいと思います。そういうことが、結果的により良い作品づくりにもつながってくれると良いなと。

竹山:けがは大変だったと思いますが、けがが教えてくれたこともあったのですね。

夏希:そうかもしれないですね。確かに、けがをしたことがきっかけでジャイロトニック(R)やピラティスなどのボディワークを知ることができました。また、リハビリの一環として、ダンスも再開することができました。体のトレーニングをすると気持ちや思考回路がすっきりしますし、心もトレーニングされるので、私自身、自分の人生をダンスに助けてもらっているなと感じます。

竹山:当時はおつらかったと思いますが、今はどのように受け止めていらっしゃいますか。

夏希:ダンスを始めたのが遅かったことや体の条件的なこともあると思うのですが、けがをしてしまったことは仕方なかったと思っています。それどころか、けがをしたからジャイロトニック(R)を知ることができましたし、いろいろな方とご縁をいただき、さらにお仕事の幅が広がりました。今となっては、けがをしたことからもたくさんの学びを得られたので感謝しています。

竹山:そのご経験によって救われている人たちもたくさんいると思います。

夏希:そうだったらとてもうれしいです。ちょっと肩がこるとか、腰が痛いとか、少しくらい痛いところがあるのは当たり前と思って普通に生活していらっしゃる方が、おそらく多いんじゃないかなと。でも、「痛み」の感覚は体からのSOSのサインなので、痛いところがあることは仕方ない場合もありますが、当たり前のことではないと思っています。痛みが出ているということは、そこに必ず何か原因があるはずなので、その方にとってベストな解決方法を探していきたいです。

竹山:今のお話は多くの方が実感していることかもしれません。

夏希:私も在団中は痛みがあるなかで、できる限りのケアをしながらやっていくものだと思っていました。痛みがあるなかで、できる限りのケアをしながらやっていくものだと。でもジャイロトニック(R)やピラティスを始めて、痛みを発生させていた原因をひとつずつ解決していったらほとんどの痛みがなくなりました。私はけがをしたあとのほうが体を動かしやすくなったし、踊りやすくなったと感じている部分もあって、これもシンプルに体の使い方を知ったからだと思います。これを20代の頃に知ることができていたらもっと踊れたのにな~といつも思います(笑)。

竹山:自分の体が変わってくると、自分が一番わかりますものね。そうなるとポジティブになれますし。

夏希:本当にそうなんです。体と心はつながっているので、体が元気になると心持ちも変わってくることがあると思います。人間には自然治癒力という素晴らしい力が備わっているので、けがをしても体は自ら治ろうとしてくれます。そのなかで、ほんの少し状態が改善されたり、ほんの小さな傷が治ることを喜べる心の状態でいたりできると良いですよね。その小さなうれしい変化の積み重ねが、きっと長年の痛みも改善していってくれると思います。

 もしけがをしてしまったり、長年悩まされている痛みがあったりするなら、今はさまざまな種類のトレーニングや治療やメソッドがあるので、きっとどこかにその方のお体に合う痛みをなくす方法やお体をより健やかに動きやすくしていける方法があると思います。ぜひみなさまにそれを見つけてもらい、いつまでも元気で趣味ややりたいと思うことを楽しんでいただきたいですし、どんなときも的確にサポートできる存在でありたいと思っています。

<終わり>

◇小田島夏希(おだしま・なつき)
神奈川県横浜市出身。8月11日生まれ。愛称は「なつき」。1998年に84期として宝塚歌劇団に入団。在団時は「汐夏ゆりさ」の芸名で娘役として活動した。宙組発足公演「エクスカリバー/シトラスの風」で初舞台。その後雪組に配属された。2003年に卒業後はJoey McKneely演出・振付「WEST SIDE STORY」、G2演出「魔界転生」お通役、三池崇史演出「座頭市」お国役、竹邑類演出「セメタリー倶楽部」天使役など、舞台を中心に活動しながらダンスインストラクターとしても活動。自身のけがをきっかけに、ピラティス、ジャイロキネシス(R)、ジャイロトニック(R)の指導者資格を取得。都内を中心にピラティス専門スタジオやチャコットなどダンススタジオにてトレーナー、ジャズダンスインストラクターとして子どもから大人まで幅広い年代の方々へクラスを提供しながら、宝塚音楽学校受験生、現役生徒の指導やボディメンテナンス、卒業生のダンスライブ、イベントなどの振付も手がける。

◇レッスン情報
ジャイロトニック(R)とマシンピラティスをメインとするボディワークスタジオ「Espoir movement space」(東急目黒線不動前駅より徒歩4分)をオープン。日々みなさまの“やりたいこと”を楽しんでいただけるよう、レッスンを提供している。


Espoir movement space
月~日曜日(不定休)午前10時~午後6時
ジャイロトニック(R)&マシンピラティスプライベートレッスン


チャコット たまプラーザスタジオ
マットピラティスクラス:水曜日 午後0時15分~午後1時15分
ジャズダンスクラス:土曜日 午後5時45分~午後7時

(Hint-Pot編集部・瀬谷 宏)

(インタビュアー:竹山 マユミ)

竹山 マユミ(たけやま・まゆみ)

明治大学卒業。広島テレビ放送のアナウンサーを経てフリーアナ、DJとして各テレビ局やラジオ局で番組を担当。コーピングインスティテュート コーピング認定コーチ。宝塚歌劇団は生まれる前から観劇するほどの大ファン。