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仕事・人生

宝塚で異色経歴持つ元男役・北翔海莉さん トップ就任の打診を3度断りながら決めた覚悟

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・瀬谷 宏

インタビュアー:竹山 マユミ

専科時代に生まれた恐怖心 「声がかかるのはこれが最後かもしれない」

宝塚時代の思い出を語ってくれた北翔海莉さん【写真:冨田味我】
宝塚時代の思い出を語ってくれた北翔海莉さん【写真:冨田味我】

竹山:北翔さんは月組、宙組を経て専科に行くことになりましたよね。当時は、専科にどのようなイメージをお持ちでしたか。

北翔:私たちがイメージする専科は、ひとつ以上のことに秀でた方が入られる“スペシャルメンバーズ”と言われるポジションなんです。ですから、組子や下級生は所作などで何かわからないことがあれば、専科の方にお聞きします。専科に所属している方たちは、聞いたらなんでも教えてくださるいろいろな引き出しを持っている人という存在でした。そのため、自分が専科でいろいろな組を回るようになったときに、引き出しがないと恥をかくのは自分だなと思ったので、当時はいろいろなことを本当にものすごく勉強しましたね。

竹山:たとえばどのようなことを勉強しましたか。

北翔:専科で最初に出演したのが、雪組の「仁」という作品でした。和ものの所作をはじめ、自分が今まで勉強できていなかったことをとにかく勉強しましたね。

竹山:専科になってからも勉強漬けだったのですね。

北翔:そうですね。それというのも、専科になって何か恐怖心がありましたね。いろいろな意味で。いろいろな組にそういうポジションで出るというプレッシャーがありました。それに、ひとつの組に所属していると次も出られるという保証がありますが、専科は呼ばれないと出られないという保証のない立場です。なので、声がかかるのは、これがもう最後かもしれないという恐怖心がありました。

竹山:各組それぞれに個性があると思いますが、そこに溶け込んでいくことも大変でしたか。

北翔:あのときはみなさんすごく良くしてくださいましたね。もともと私は月組にいましたし、宙組に行ってからの仲間たちは私が専科に行くときに組替えになって、みんな各組に散らばったんですよ。だからどこにいても自分の知り合いが必ずいました。新しい職場に行っても、転入生みたいな感覚はあまりなかったんです。