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仕事・人生

宝塚元男役トップ・北翔海莉さんが決めていた“辞め時” 「若手にチャンスを与えないと…」

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・瀬谷 宏

インタビュアー:竹山 マユミ

「3作」だけと決めたトップ就任 「衰えかけたところで辞めたくなかった」

宝塚時代はプロデューサー的な役割も担った北翔海莉さん【写真:冨田味我】
宝塚時代はプロデューサー的な役割も担った北翔海莉さん【写真:冨田味我】

竹山:柚希礼音(85期、元星組トップスター)さんのときとはまた違った星組の雰囲気がそこにあって、もっと長く北翔さんのトップ時代を拝見したかったのですが、“辞め時”は決めていらっしゃったのですか。

北翔:最初にトップ就任の話が来たときにはもう、決めていましたね。最初は「3作しかやりませんけどいいですか」って、こっちが条件を出したので。

竹山:どうして「3作」と?

北翔:やっぱり自分が旬のときに辞めたいっていうのもありました。自分が衰えかけたところで辞めたくなかったんです。まだいけるという可能性が見えるところで、次の道につないだほうがいいかなと。それに、どんどん若手にいろいろなチャンスを与えていかないと、若手とはいえやっぱり腐っていっちゃうんですよ。

 それはどこの現場も一緒でしょうし、宝塚だけに限った話でもないと思います。決まった人がいつもそのポジションにいるのではなく、どんどんシャッフルして進化していかないと、やっぱりみんなも磨きがかからないんです。

竹山:育成ということを常に考えていらっしゃったのですね。

北翔:だから、自分がやるといった「3作」のときは、学年関係なくいろいろなオーディションをして、とにかくできる子に役をつけるということをやりました。だから「なんでこんな子が歌っているの」と言われるような配役だったかもしれませんが、とにかくできる子にやらせて、あの人には敵わないというものをちゃんと見せようと。演出家の方とプロデューサーさんと自分で、周りが納得する適材適所の配役を考えました。歌える子に歌わせる、踊れる子にソロを踊らせるというのを徹底しましたね。

竹山:躍動感あふれるショーに魅了されたのは、そういうことがあったからなのですね。

北翔:そういった、それぞれの特技を見抜いてあげるというのも、トップの仕事かなと思っていました。

竹山:トップスターさんというのは、そんなプロデューサー的な感覚、要素も大事なのですね。

北翔:もちろん、それは人によります。でも、私はそうでなきゃいけないんじゃないかなって。宝塚だけではなく、いろいろな組織のトップの人というのは、自分のそのポジションに自惚れて居座るのではなくて、常にそういうアンテナを張って、見抜いて、ちゃんと引き上げていくというのが仕事かなと思っていましたから。