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からだ・美容

携帯扇風機による乾燥も 「夏老け肌」の原因や対処法を医師が解説

公開日:  /  更新日:

著者:岩淵 美樹

教えてくれた人:佐藤 卓士

基本のスキンケアを丁寧に行い、保湿を徹底する

 夏老け肌も、以前お話しした“肌の五月病”のように乾燥対策が必須です。夏はベタベタするからと乳液やクリームを避ける人もいますが、気づかないうちに乾燥しているので、保湿は欠かさず行ってください。べたつくのが苦手という人は、ジェルなどさっぱりとした使用感の保湿剤を選ぶといいでしょう。

 朝晩の基本のスキンケアも丁寧に行ってください。とくに夜、メイクを落とさずに寝るのはNG。肌をゴシゴシとこすらないように優しくメイクを落とし、ふわふわの泡で汚れを吸着するように洗うこと。その後は化粧水、乳液、クリームや美容液でしっかりと保湿をしましょう。朝のUVケアも必須です。夏だけでなく、一年を通して紫外線対策は欠かせません。

 市販の化粧品を選ぶ際、保湿ならセラミドやヒアルロン酸、コラーゲンの美容成分が入っているものがいいでしょう。厚生労働省が承認しているシワ改善に有効な成分レチノールは、シワやたるみの改善だけでなく、シミやくすみの改善も期待できるのでおすすめです。

 ただし、レチノールは高濃度になると肌がピリピリしたり、赤みや皮むけが起こったりすることもあるので、使用する際は注意が必要です。紫外線ダメージにも敏感なので、夜の使用がいいでしょう。

 紫外線を浴びた肌にはビタミンCが欠かせません。メラニンができるのを抑制し、コラーゲンの生成を促す効果があります。また、抗酸化作用やターンオーバーを促進する効果もあり、さまざまな肌トラブルに対するケアができます。美白効果や抗炎症作用のあるトラネキサム酸も、夏に受けたダメージをケアするには取り入れたい成分のひとつです。

ビタミンA・C・Eをとり、体の内側からもケア

夏のスタミナ食のイメージが強いウナギは、肌にもうれしい効果が(写真はイメージ)【写真:写真AC】
夏のスタミナ食のイメージが強いウナギは、肌にもうれしい効果が(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 ビタミンCはヒトの体内で作ることができないので、肌から与えるだけでなく食事やサプリメントからも積極的にとりましょう。成人の1日摂取推奨量は100ミリグラムと設定されていますが、一度に大量にとっても吸収できる量が決まっているので、それを超えると排出されてしまいます。ですから、こまめに摂取することがポイントです。

 ビタミンC以外にもビタミンA、ビタミンEも肌荒れを改善する効果が期待できます。美肌を保つには、ビタミンACE(エース)をとるといいといわれています。ビタミンAはレバーやホウレン草、ニンジン、ウナギ、ビタミンCは野菜や果物、ビタミンEはナッツ類に多く含まれています。ピーマン、パプリカ、ブロッコリー、カボチャはビタミンA・C・Eを一度に多くとれる食材です。

 暑さで食欲が落ちて偏った食事になっていると、肌にも影響が出てきます。たんぱく質や食物繊維が不足しがちになるので、栄養バランスを考えた食事を意識して取ることも夏老け肌の改善には大切です。また、冷たいものばかりとっていると体が冷えて代謝が悪くなりますから、温かいメニューも取り入れるようにしましょう。

 寝苦しい日が続き、睡眠不足になっている人も多いようです。睡眠不足も、肌荒れや肌の老化につながります。良質な睡眠をとるためにも、シャワーだけで済ませず湯船に入って体を温めるようにしましょう。疲れも取れますし、リラックスしていい眠りを誘ってくれます。肌のためだけでなく、残暑を乗り切るために生活習慣もぜひ見直してください。

(岩淵 美樹)

佐藤 卓士(さとう・たかし)

1970年4月7日生まれ。九州大学医学部卒。岡山大学医学部、杏林大学医学部、都立大塚病院形成外科にて研鑽を積む。医学博士、日本形成外科学会認定専門医、日本レーザー医学会認定レーザー専門医。日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本美容外科学会、日本レーザー医学会、日本手外科学会、日本創傷外科学会に所属。2018年よりアヴェニュー表参道クリニック院長として、形成外科・皮膚科で学んだ知識と経験を基にわかりやすい説明を心がけ、日々診療を行う。