仕事・人生
宝塚元トップ男役・北翔海莉さんの家庭で飛び交う「ありがとう」 夫婦でつなぐ感謝の思い
公開日: / 更新日:
インタビュアー:竹山 マユミ
チャンスは「いろいろなところに転がっている」
竹山:いよいよ目前に迫った25周年記念公演の「THE 北翔まつり」ですが、公演にはどのようなメッセージが込められているのでしょうか。
北翔:舞台ではもちろん25年の歴史の振り返りもやるのですが、そのなかに殺陣のシーンを入れているんです。結婚と出産の間、木刀をまったく持っていなかったのでレベルも落ちてしまったし、筋肉も落ちちゃったから(殺陣を)やるのをやめようと思ったんです。でも、「いや、ここで逃げちゃダメだ」と思って、やることを決めました。
竹山:トップスターだったときと同じように、今回も自分との勝負だったのですね。
北翔:宝塚での経験に限らず、人って、もともとできていたものはまたできるようになるんですよ。いろいろ体を鍛えていたり、仕事ができていたりした人も、出産を機に諦めてしまうことが多いようですが、若いときに培ってきたものってよみがえるんです。だから、私も一からの出直しになるけれど、ここでもう一回挑戦することで、結婚したり、子育てしたりして夢を諦めちゃったお母さんたちに何かを伝えたいなと。そんなメッセージを舞台から投げかけられればと思います。
竹山:こうしたお話を伺うと、今回の「THE 北翔まつり」というのは、このタイトルしかないと納得します。このストレートなタイトルは、どのようにお考えになったのですか。
北翔:「~メモリアル」とか、横文字のタイトルも考えたんですけど、私がデビューして25年経つということは、応援してくださるファンの方も25年経っているわけで、みんな題名が覚えられないんですよ(笑)。そういう方たちのためにも、絶対に忘れない題名にしようと思ったんです。
竹山:ファンの方に対しても、まっすぐなお気持ちで開幕するわけですね。舞台は喜劇のものと、和もののショーといった感じなのですね。
北翔:12月にもディナーショーはあるので、ディナーショーでよくやるものはやりたくないなと。そう思うと、ディナーショーって意外と和ものができないんですよ。これまで和ものの作品の名曲がたくさんあったにもかかわらず、全然披露していないまま20年経ってしまったので、過去を振り返って、和もののいろいろな名曲、自分がやっていた作品を一気に集めてメドレーにしようと思っています。
竹山:ファミリー全員で取り組まれるということで、そこもまた魅力ですよね。25周年を迎え、これからの目標や夢がありましたら、ぜひお聞かせいただけますか。
北翔:私の人生って、本当に自分で思い描いていたものと全然違います。今の若い子たちに言いたいのは、いつ、どこで、誰がそのチャンスの言葉を言ってくれるかわからないということ。とにかくコミュニケーションをとって、相手がサラッと言ったひと言を全部受け流すのではなく、あの人はなぜこんな声をかけてくれたのだろうと、一度思い直してほしいです。そういうふうにしていくと、いろいろなチャンスがこんなにも転がっていたんだということに気づかされると思います。
人生って“ご縁”だと思っています。その“縁”によって自分の人生がおもしろいかおもしろくないかが決まっちゃうから、コミュニケーションをとって、“縁”をとにかく大事にしていきたいですね。
竹山:まだまだとどまることを知らず、ずっと新たな挑戦が続きそうですよね。楽しみにしております。
北翔:ありがとうございました。
<終わり>
千葉県出身。3月19日生まれ。愛称は「みっちゃん」。1998年に84期として宝塚歌劇団に入団。宙組公演「エクスカリバー/シトラスの風」で初舞台。組回りを経て月組に配属。2012年7月に専科へ異動。2015年5月、星組男役トップスターに就任。代表作にブロードウェイミュージカル「ガイズ&ドールズ」、ディズニー×宝塚「LOVE&DREAM」、「こうもり/THE ENTERTAINER」など。2016年11月、「桜華に舞え/ロマンス!!」をもって退団した。2017年4月に北翔海莉1stアルバム「Alrai~エルライ~」をリリースし、「ALL JAPAN TOUR 2017」を開催。ミュージカル「パジャマゲーム」、「ふたり阿国」、「うたかたのオペラ」、「海の上のピアニスト」などの作品で主演。「銀河鉄道999 THE MUSICAL」、「アルジャーノンに花束を」、「CLUB SEVEN ZERO ll」、藤間勘十郎文芸シリーズおよび現代能「マリー・アントワネット」に出演するほか、数々のコンサートやディナーショーにて活躍中。2018年に俳優の藤山扇治郎と結婚。2020年に長男を出産した。今年、芸能生活25周年を迎え、記念公演「THE 北翔まつり」とディナーショー「ザッツ☆北翔テイメント」を開催する。
北翔海莉芸能生活25周年記念公演「THE 北翔まつり」
【日時】2023年9月14日(木)午後6時30分、15日(金)正午/午後4時、23日(土・祝)午後1時/午後5時、24日(日)正午/午後4時
【会場】国立文楽劇場(大阪府)、浅草公会堂(東京都)
【演目】1部:茂林寺文福 作「先づ健康」(補綴/川浪ナミヲ、演出/帆足敏)
2部:「THE 北翔まつり」(構成・演出/北翔海莉、振付/山村友五郎)
【出演】北翔海莉、風莉じん、星吹彩翔、亜聖樹/小林功、川浪ナミヲ/美治、藤山扇治郎
【金額】1万1000円(全席指定、税込)
【お問い合わせ】北翔海莉事務所(info@artistjapan.co.jp)
Arrow Tazz Orchestra~ジャズ&宝塚 Vol.3
【日時】2023年10月29日(日)午後3時
【会場】梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(大阪府)
【出演】北翔海莉、沙央くらま、アロージャズオーケストラ(AJO)、アローシンガー:鳴海じゅん
【金額】一般8000円、学生6000円(全席指定、税込)
北翔海莉ディナーショー「ザッツ☆北翔テイメント」
【日時】2023年12月19日(火)正午/午後5時15分(お食事、ショー)
【会場】東京會舘 丸の内本館3階「ローズ」
【出演】北翔海莉、大真みらん、漣レイラ
【演出・音楽】岡田敬二、佐伯準一
【金額】3万9000円(税込、全席指定、料理・飲み物・サービス料含む)
(Hint-Pot編集部・瀬谷 宏)
(インタビュアー:竹山 マユミ)
竹山 マユミ(たけやま・まゆみ)
明治大学卒業。広島テレビ放送のアナウンサーを経てフリーアナ、DJとして各テレビ局やラジオ局で番組を担当。コーピングインスティテュート コーピング認定コーチ。宝塚歌劇団は生まれる前から観劇するほどの大ファン。