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英国では田舎暮らしがステータス 東京から人口1200人の島に移住した日英写真家

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

瀬戸内海の島と運命的な出会い

トムさんと妻の真伊さん【写真提供:宮川トム】
トムさんと妻の真伊さん【写真提供:宮川トム】

「最初はどうすればいいかまったくわからなくて、自分の遠い親戚のいる山梨県、妻の実家がある三重県も考えました。でも、どうせ引っ越すなら自分たちの住みたい理想の場所を探そうということになったんです」

 とはいえ、具体的な場所は思いつきませんでした。暖かいか寒いか、山か海か――。そんなおおまかな条件から、なんとなく「南の方の海岸沿いか島」が候補として浮かんできたといいます。

 そしてすぐに行動へ。「ふるさと回帰支援センター」が有楽町にあると聞き、アポなしで飛び込むと運命的な出会いがありました。同センターのスタッフに条件を伝えると、案内されたのは広島県。実は、その日は広島県が初めて同センター内に窓口を開設した日でした。

「紹介されたのは大崎上島と大崎下島でした」

 広島県尾道から愛媛県今治を結ぶ「しまなみ海道」は有名ですが、大崎下島は広島県呉市から南東に連なった7つの島々からなる「安芸灘とびしま海道」に位置し、その下島の北部に上島があります。トムさん夫妻はさっそく、数週間で2つの島へ下見に訪れることにしました。

「大崎上島はすでに移住者もいて、小さいながらも島の中ですべてが完結するような場所でした。東京で思い描いていた理想のような生活ができるのではないかと。そんなときに、初めて大崎下島で『地域おこし協力隊』を募集するという話を聞いたんです。下島はまだ移住者もほとんどいなくて、下島に来たほうが自分たちは役に立つのではないかと思いました」

日本の原風景が広がる大崎下島【写真提供:宮川トム】
日本の原風景が広がる大崎下島【写真提供:宮川トム】

 さっそく、妻の真伊さんが「地域おこし協力隊」に応募し採用され、2015年3月には東京から大崎下島へ居を移します。移住を計画してから、わずか半年のことでした。