仕事・人生
副業で変わった人生 元読売新聞の女性記者が飲食店のアルバイトを続けるわけ 衝撃だったシェフとの出会い
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「いろんな依存先があると生きやすい」 副業を始めて理解した言葉
もちろん、楽しいことばかりではありません。なかなか収束しないコロナ禍。昨年の冬、第8波のピークのときには、ディナーの営業では午後8時まで客がゼロの日もありました。「お客さんこれ以上来なかったら私が8時からお客さんに切り替わって飲み始めますよっていうことが何回かあったぐらいお客さんが入らなかった」。シェフは定休日の月曜以外週6で勤務。仕入れ、仕込みからすべての料理を1人で手作りしています。「平日のほとんどは家に帰れてなくて、店で寝ているんです。命を削ってるかもしれない」と、体が心配になることも多いそう。飲食店の厳しい現実に、考えさせられることもあります。
副業を1年続け、思い出す言葉がありました。「熊谷晋一郎先生(東京大准教授)の自立とは、いろんなところに依存先があることだとか。いろんな依存先があると生きやすくなるっていうことを言うけれどもその通りで、本業がだめだったときはこっちがすごく救いになったし、逆にこっちでシェフとけんかしているときは本業で評価されることがあって、やっぱり複数あるっていうのはいいことなんだなっていうふうに思いました」
ちなみに、記者経験が飲食業に生きたことはあるのでしょうか。
「人に話しかけるのは苦でも何でもないですよね。逆に私は話しかけられたくないですよっていう感じも分かります。それはあるかもしれない」。人間観察はお手のもの。なにげない会話から、人とのつながりが広がることも少なくありません。
今後の目標は、「シェフをいらだたせない。もうちょっと仲良くやりたいな」と控えめに語った岩永さん。「副業が本業に対していいフィードバックになった。今回、初めてエッセーを書いて、自分としては何か新しい扉が開いたような気がしているので、これからも書けるならいろいろなことにチャレンジしていきたいなと思っています」と結びました。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)