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東京圏地価上昇率1位は意外な穴場 都心から30分の「北の鎌倉」 かつて“幻のディズニーランド”計画も

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム

千葉・我孫子市の巨大マンション群【写真:Hint-Pot編集部】
千葉・我孫子市の巨大マンション群【写真:Hint-Pot編集部】

 いま、東京圏で地価上昇率が1位になり、大きな話題を集めているのが千葉・我孫子市です。千代田線に始発で座れる上、常磐線で東京・上野まで30分強という利便性があり、都心に比べると、安く、広く住めるというのが人気の理由です。また、過去の歴史を紐解けば、ディズニーランドをモデルにした「手賀沼ディズニーランド」構想があったことも。かつて「北の鎌倉」と称された我孫子市は、なぜ注目されているのか、現地で取材しました。

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「土地ありませんか?」 建売営業マンが毎日のように“不動産会社詣で”

 国土交通省の令和5年地価調査によると、東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城の東京圏で、住宅地における地価の上昇率は我孫子市が18.6%で1位。これを受け、テレビ局が特集を組むなど、大きな盛り上がりとなっています。

 都心のマンション価格が異常な高騰を続ける中、リモートワークの普及もあり、比較的値段が手ごろな郊外に住宅需要が移行している流れがあるでしょう。それにしても候補が数多くある中で、なぜトップが我孫子市だったのでしょうか。

「実感はありますよ。おととしあたりから、土地を仕入れて売っても利益が出るようになりました。それまでは買ったら値下がりするんじゃないかという気持ちがあったので、ちゅうちょしてなかなか買えなかったです。おととしあたりから買ったら少しは利益が出るという自信はつきましたね」と話すのは、駅前に店舗を構える宝山不動産の村山正憲さんです。

 村山さんは購入した土地を、建売業者などに売却する事業を行っています。数年前までは、仕入れた土地を売ろうとしても、8掛けや9掛けで値引きされることが多かったそう。ところが、現在は土地の売却を巡って業者同士で取り合いになっているといいます。

「もうすごいですよ。同じ会社の支店同士で競争している。ほぼ毎日、建売の営業マンが回ってくる。『土地ありませんか?』と言って。名刺が束になっているんですね。千葉支店、松戸、市川、船橋…都内からも来る」

 建売業者からすれば、我孫子の土地の最新情報を1秒でも早く入手したいということなのでしょう。そもそも家を建てられるような土地はなかなか出ないといいます。「今から4~5年前は3000万の中頃というのが建売の一般的な価格でしたが、1000万円ぐらい上がっていますね。そんなんで売れるのかと思うんですけど、売れていますね」と、驚きます。

人口13万人「とりたてて特徴はないが…」 人気の秘けつは?

我孫子の地理について説明する宝山不動産の村山正憲さん【写真:Hint-Pot編集部】
我孫子の地理について説明する宝山不動産の村山正憲さん【写真:Hint-Pot編集部】

 我孫子育ちの村山さんは、我孫子の魅力をどのように考えているのでしょうか。

「とりたてて特徴はないんですけど、特徴がないところがいいのかもしれない。静かで夜8時ごろになると、人通りもないですよ。女の子1人でも歩いている。のんびりしていて、こんなにいい街はないと思っています。駅から10分歩くと、夜はさみしいくらいでしょ。ですから、都内で仕事して帰ってくると、ホッとしますよ」

 人口は13万人ほど。代表的スポットの手賀沼を始め、自然も豊かで、郊外ならではの生活のしやすさを長所に挙げます。

「要はまず治安がいい。繁華街がないから、ややこしいものもない」。千葉県警が発表している「人口1万人当たりの犯罪発生件数」によると、令和4年中のデータで我孫子は39.1人で37市中、下から6位。平穏に暮らすためには適した場所と言えそうです。