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天候や気圧の変化で起きる「天気痛」 リスクが高まる主な要因など気象予報士が解説
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天候不順や台風が近づいたとき、倦怠感や頭痛など体の不調を覚える人が少なくありません。こうした天候や気圧の変化による体調不良は「天気痛」と呼ばれ、解明されていないことも多いそう。ウェザーニューズ予報センターで「天気痛予報」を担当する気象予報士の大塚靖子さんに、天気痛が起きやすい条件などお話を伺いました。
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高気圧に覆われていた夏が去り秋は「天気痛がつらい季節に」
――台風の接近や雨のときなど「天気痛でつらい」と言う人や、「なんとなく体調が悪い」と感じる人がいます。天気痛とは、どういうものなのでしょうか?
「天気痛とは、天気の影響を受けて慢性の痛みが出たり悪化したりする状態のことで、頭痛や腰痛、関節痛のほか、倦怠感やめまいなどの症状が出ることもあります。
さまざまな症状があるうえ、原因と考えられる気象要素が複数あるため、発生のメカニズムは複雑です。弊社が独自に実施したアンケート調査では、天気痛に関係する気象要素として8割の人が『気圧』と回答しており、気圧が原因で天気痛が起こる人が多いと考えています。
昔から『雨が降ると古傷が痛む』など、天気の変化によって症状を感じる人はいました。そのほかにも、頭痛やリウマチなどによる関節痛、骨折した箇所といった部位は、気圧・天候の変化による痛みが出やすい傾向があります。国内では現在1000万人以上が、天気痛による不調があると推定されますが、人によって症状もさまざまです」
――秋の訪れとともに天気痛を訴える人が増えている印象です。天気痛が起きやすい条件も関係すると思いますが、今の時期特有の天気傾向などの影響はありますか?
「天候でいうと、寒暖差が大きいときは自律神経が乱れやすく、不調の原因になることが知られています。秋は低気圧や前線、台風に伴う気圧変化の影響を受けやすい時期であり、気温の変化も大きい季節なので、天気痛が起こりやすくなります。
天気痛の要因となる気圧の影響はエリアによって違うほか、気象条件は年によって異なる面も。まだ解明されていないことが多い天気痛ですが、ウェザーニューズでは気圧医学の第一人者である佐藤純医師と共同開発した『天気痛予報』を2020年3月にリリースし、今年の5月までで丸3年分の症状報告のデータが集まった状況です。過去3年のデータで天気痛の季節変化を分析したところ、天気痛の症状は、過去3年とも6~8月に和らぐ時期があり、秋以降は再び強まることがわかりました。
梅雨は梅雨前線の影響で天気の崩れる日が多くなりますが、発達した低気圧の通過はそれほど多くありません。また、夏の間は日本付近を高気圧が覆い、気圧の変化が抑えられることから、天気痛を引き起こすリスクが低い季節だと考えられます。一方、秋以降は症状が出やすい時期。夏が終わり、これからまた天気痛がつらい季節になっていきます」