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天候や気圧の変化で起きる「天気痛」 リスクが高まる主な要因など気象予報士が解説
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天気痛のリスクを高める気圧の変化 主な原因となる3種類の特徴
――天気痛のリスクを高める大きな要因と推測されるのが気圧の変化とのことですが、具体的にどういったものが挙げられますか?
「天気痛リスクを高める気圧の変化は、主に3種類。まず、低気圧や高気圧による気圧変化です。雨などを降らす低気圧や前線、台風が接近・通過するときや高気圧が離れる際、気圧が下がることで天気痛のリスクが高まります。気象情報や気圧配置図をご覧になって、『こういうときに症状が……』と傾向を把握されている人も多いかもしれません。
あとの2つは、気象用語で初めて耳にする人も多いと思いますが、『大気潮汐(たいきちょうせき)』と『微気圧変動(びきあつへんどう)』です」
――「大気潮汐」とは?
「月の引力によって潮が満ち引きすることは、ご存じの人が多いと思います。大気では、主に太陽の光によって空気が温められて膨張することで周期的な気圧変動が起こっていて、それを指す気象用語が『大気潮汐(たいきちょうせき)』です。
12時間周期で決まった気圧の変化があり、毎日同じ時間にアップダウンする波形として観測されるのが特徴。アップダウンの時間的な周期は同じでも、変動の大きさは日によって異なり、変動の“通常からのずれ”が大きくなるほど、天気痛を引き起こすリスクが高まると考えています」
――「微気圧変動」は、どういうものですか?
「低気圧や台風などの積乱雲の塊の周辺に起きる、小刻みな気圧の変化のことです。標準的な気圧は1013hPa(ヘクトパスカル)ですが、微気圧変動は1hPaあるかないかの小さい変化。0.3hPaなど、天気図では埋もれてしまうほど小さいものの、さざ波のように変動が遠くまで押し寄せることもあります。
大気の状態によって、さざ波のような気圧の変化の周期や、それが遠くまで届くかどうかが左右され、低気圧や台風が発生しても、必ず遠くまで伝わるとは限りません。微細な気圧変動が遠くまで伝わる大気の状態だと、台風や低気圧が遠くにある段階から微気圧変動が伝わってきます。もし、台風がフィリピン沖くらい離れていても天気痛の症状が出る人は、微気圧変動の影響があるといえそうです」