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同級生はイタリアの元貴族 宮殿で目撃した異世界…13歳で異国に渡った女性経営者の歩み

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著者:Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム

異国での苦労 「辞書もビリビリに破られました」 ストレスの影響も

1088年創立の名門ボローニャ大学【写真提供:長谷川悠里】
1088年創立の名門ボローニャ大学【写真提供:長谷川悠里】

 強烈体験をした長谷川さんは、イタリアの持つ伝統や文化の深さにますますひかれていきます。街並みや建物の美しさには移住後、すぐに魅了されましたが、イタリアが国として歴史遺産を保護し、その価値を巧みに活用していることに気づいていきます。

「古代ローマからの文化施設があり、インフラをそのままずっと使ってきているすごくクレバーな国。2000年前の水道や道路を普通に使っている人たちで、町並みも1000年2000年前のものを外側だけキープして、内側が現在のものになっている街がすごく多い。それってすごく優秀な話で、文化遺産の価値をちゃんと分かっている。観光に使えるし、国益にもつながる。古代から受け継いでいるところを、守り抜いていく強固さや理念の高さみたいなところが本当のイタリアの魅力なんじゃないかなと思います」

 もちろん、いい印象だけではありません。異国で暮らすことは苦労もつきまといます。移住したてのころは同級生から嫌がらせを受けたこともありました。

「現地の中学校ですごくいじめられて、教室にリュックを置いておくといろんなゴミが入ってたり、テーブルにすごい落書きされたり、授業中に後ろから釘が降ってきたこともあります。けがはしなかったのですが、辞書もビリビリに破られました」

 当時、イタリアで日本のお笑い番組の下劣なシーンを集めたテレビ番組が放送されていた影響もありました。「『バンザイ』っていう名前だったと思うんですけど、中学生も高校生も面白いから見るんですよ。で、『あ、バンザイの国の子だ』みたいに言われるし、『日本人ってパンツ売れるって本当?』とか、『こういうことやるって本当?』みたいにしょっちゅう言われたり、魚のジュース飲んでばっかりなんだろうとか、子どもだから偏見に満ちたことばかり言われました。それをいちいち否定する言語能力がまだなかったので、ストレスがたまってたまって、5年間ぐらい喉に変なできものがずっとできていました。日本に一時帰国すると、戻りたくなくて毎日泣いていて、そのときは日本に帰りたいっていう気持ちがすごく強かったです」