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会社員と週末寿司職人の修行を両立した30代女性、フィンランドに移住「始めるのに遅すぎることはない」
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日本人が海外で暮らす理由はさまざまです。外務省の海外在留邦人数調査統計によると、2022年10月1日現在、長期滞在と永住合わせてその数130万人ほど。コミックエッセイ「マイフィンランドルーティン100 ヘルシンキ暮らし編」(9月21日発売、ワニブックス刊)の著者・週末北欧部 chikaさんは寿司職人の資格を取って昨年春、フィンランドに移住しました。森と湖に囲まれた美しい国は、冬場は氷点下になるほどの寒さです。chikaさんはなぜフィンランドに魅了されたのでしょうか。移住して現地で感じたことや日本文化との違いを伺いました。
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寿司職人の資格を取って昨年春、フィンランドに移住
chikaさんがフィンランドに興味を持ったのは小学生のときでした。
「8歳のときに通っていた英会話スクールでフィンランドのサンタクロースに手紙を書きましょうというイベントがあって、そこに『いつか会いに行きます』と書いたのがきっかけです。私自身がクリスマス生まれで、サンタさんに憧れを持っていたので、ずっとフィンランドは特別な存在でした」
願いをかなえたのは、20歳のとき。大学生のchikaさんはフィンランドでクリスマスを過ごそうと、初めて同国を訪れ、1か月滞在します。
「1か月1人で行って、そこで一目ぼれをしたんですね。それまでもバックパッカーでいろんな国に行ったんですけど、初めて住みたいと思えたのがフィンランドでした」
魅了された一番の理由は居心地のよさでした。
「フィンランドに存在する距離感がとても自分にぴったり合ったというのがすごく大きな理由でしたね。人と人の距離感も、人と自然の距離感もフィットしました」
ヘルシンキは大都市にもかかわらず、徒歩圏に森や湖が点在。「大阪の田舎生まれ」のchikaさんにとって、都会と田舎が溶け込んだ街は、新しい選択肢を示してくれたと言います。
また、人間同士の距離感も新鮮でした。
「フィンランド人の『自分はこれが好き。あなたはそれが好きなんだ。どっちもいいよね』という尊重と無関心の間のような距離感を初めて行ったときから感じられて、人の目を気にしがちだった20歳の頃としては、みんながみんな好きなものを大事にして自立しているとこんな距離感ができるんだということに驚いて、それからすごくフィンランドが好きになりました」
会社員を続けながら週末は寿司学校 両立できた理由
chikaさんは毎年1~2回のペースで12年にわたってフィンランドに通い続けます。そして、東京で働くうちに、今度は次の目標が芽生えました。
「いつかフィンランドに住みたい」
chikaさんは移住を考え、夢を実現するための方法を考えます。たどり着いたのは、寿司職人という道でした。
「どうやって移住できるのかを模索する中で見つけたのが、寿司職人という道だったんです。言葉ができない中で、フィンランドで生かせるスキルを持っていなかった自分にとってはぴったりなんじゃないかなと思い、東京で会社員を続けながら週末に寿司学校に通ったり、お寿司屋さんで修行したりして3年目を迎えるときに、フィンランドのお寿司屋さんから内定をもらいました」
学校に入学したのは32歳のとき。大きな決断でしたが、背中を押してくれたのは、フィンランドに滞在中、現地で話を聞いた日本の寿司職人でした。
「出会った先輩の中には、45歳で寿司学校に入学をして50歳でフィンランドに移住した方もいたので、始めるのに遅すぎることはないと感じられたことと、実際に学校に入ってからも平均年齢自体が大体40代ぐらいで、上は60代の方もいらっしゃったりして、学校に入ったことでより一層、何歳になっても学び続けられるし、将来的にお寿司以外のことにチャレンジすることになったとしても、きっとやり続ければできるという大きな勇気をいただけたと感じています」
とはいえ、会社員との両立は簡単ではありません。店での修行は、土日に1日12~13時間勤務が「常でした」。体力勝負な面もあり、体調管理にも神経を使いました。
ゴールに向かう上で、心の支えになったのは2つのことでした。まずは、「絶対に卒業してから1年後には行く」と、寿司職人の修行に期限を決めたこと。そして会社の協力です。事前に相談することでチームメンバーにも応援してもらい、両立を後押ししてくれたと言います。